建設工事現場で工期に遅れが出てしまうと、最悪の場合には施主に損害金を支払う必要が出ることもあるため、遅延が発生するリスクに備えることが必要です。
工程表の変更や予算の再確認など、工期に遅延が生じれば行うことは多岐に渡るため、リスクを最低限に抑えるために必要なことを把握しておきましょう。
不測の事態が発生したことで、予定していた工期を延長するしかないという場合、施主に遅延損害金を支払う必要が出てきます。
テナントと契約を済ませ、すでに開業日も決まっているビルなどの場合、工事の遅延により多額の損害賠償請求が発生する訴訟になるリスクもあると留意しておくべきです。
たとえば新型コロナウイルス感染拡大の影響で、工事を停止しなければならなくなった現場もあるでしょう。
しかし感染症を理由に物件の引渡しが遅れた場合でも、施主からは損害金を請求される可能性があります。
台風や洪水など、不可抗力でどうすることもできない問題が発生し、遅延の責任は業者にないといった場合でも、施主から損害金を請求される可能性は考えられます。
工期が遅延することで損害賠償金を支払うリスクを回避するには、請負契約の条項の中に、天災などを原因として工期が遅れたときに違約金が発生しないという旨を加えておくことが必要です。
また、工期が遅延することのリスクは損害金だけでなく、業者の原価の負担が大きくなることも注意しましょう。
たとえば重機のリース期間を延ばさなければならなくなれば、その分費用がかかります。
資材の手配や搬入のやり直し、現場監督や職人の人件費など、工事日数の増加とともにコストも増えてしまいます。
工期補償などの保険で、工期が遅延したときのリスクに備えようと考える経営者もいることでしょう。
ただ、工期遅れ補償がある保険商品は、工事中に第三者に迷惑をかける原因事故が起きたことで工期が遅れたときにのみ補償されることがほとんどです。
人的被害や物的被害が具体的に発生したときに補償されるため、設計ミスや施工ミスによる遅延は補償対象ではないと考えられます。
中には工期遅延リスクを幅広く補償する保険もあるため、どの補償が必要か、自社にとって適した内容になっているか確認した上で選ぶようにしましょう。