建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設工事の騒音に関する苦情へはどのように対応するべきか

2022.04.02
分類:リスク

建設工事をしていれば、作業を進める上で機械音や作業音などが発生してしまうものです。

しかし近隣住民にとっては、その音や振動が不快に感じるものであり、苦情などが入るケースもめずらしくありません。

しかし建設業者側の立場としては、どうしても作業において発生してしまう音に対し、苦情を言われてもどうすることもできないという場合もあるでしょう。

そこで、工事などで発生する騒音に対し、苦情を受けたときの対応方法を説明していきます。

騒音はどこまで許容されるべきか

真空空間でもないかぎり、「音」は必ず出るものであり、日常生活において発している程度であれば受容すべきものと考えられてます。

ただし、地域や時間帯によって、受任限度を超えた騒音になってしまう可能性はあると考えるべきです。

騒音に関する公的機関に対する苦情件数は高く、特に建設作業の騒音に対する苦情は全体で見ても約6割と多くを占めています。

 

建設工事の音を規制する法律

工事により発生する騒音は、開発が進む現代では社会問題ともいえます。

騒音の許容限度を定め、人々の生活環境保全と健康保護のために制定されたのが「騒音規制法」で、規制対象と規制基準が2つの柱です。

都道府県知事や市長・特別区長は、騒音の規制を行う指定地域を指定し、地域内で設置されている建設作業などを対象とした規制基準が規定されています。

裁判で違法とされるケース

裁判で騒音が「違法」と判断されるケースとは、騒音が「受忍限度」を超えた場合です。

ただし受忍限度の判断は一律ではなく、たとえば音量の上限が法律で規制されていればその上限を超えていることだけというわけでもありません。

・騒音を発生させている行為の態様・程度

・行為の必要性

・被侵害利益の性質と内容

・周辺の地域環境

・被害防止措置の有無

など、様々な要素を加えながら総合的に判断されます。

その上で受忍限度を超えていると判断されたときには、周辺住民の権利を害する違法な騒音と認められることとなり、建設作業の差し止めや損害賠償に発展する可能性も出てきます。

 

騒音に対する苦情対応でやってはいけないこと

もしも騒音について周辺の住民などから工事現場に直接苦情があった場合でも、音が出ることは仕方のないことといった開き直る対応は避けましょう。

苦情から訴訟に発展したとき、「差し止め請求」や「損害賠償請求」まで発展するかは、誠実な対応がされたかどうかで左右される場合もあるからです。

苦情の相手は人なので、誠心誠意、相手の立場になって違法な騒音にならないよう配慮することも必要といえるでしょう。