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建設工事現場で労災事故による怪我を負ったときの手続とその流れとは

2022.04.09
分類:リスク

建設工事現場では、危険を伴う作業も多いため、状況によっては労災事故が起きてしまい建設従事者が怪我を負ってしまうこともあるでしょう。

建設現場に関係する下請業者は独立した事業として取り扱わず、下請業者と元請業者は一体とみなされるため、工事現場での労災保険加入手続は下請業者の分も元請業者が原則行います。

労災保険料を納める義務も建設工事現場ごとの元請会社が負いますが、もし労災事故が発生し建設従事者が怪我を負ったときには、どのような手続と流れになるのか確認しておきましょう。

虚偽の報告は違反行為

建設現場で働く2次下請労働者が就業中にケガを負い、元請が労働者災害補償保険の申請を拒否したことで、労働安全衛生法違反の容疑とされたケースがあります。

このケースでは、2次下請の取締役・関係請負人の1次下請業者の代表取締役・元請業者の現場代理人が書類送検されました。

元請は下請労働者が就業中にケガを負ったときには、労働者災害補償保険の申請を行うことが必要です。

労災なのに労働災害として扱わない虚偽の報告は違反行為ですので、そのような対応はしてはいけません。

 

労災事故が発生した後の手続とその流れ

工事現場で労災事故が起きたときには、次のような手続と流れとなります。

①労災指定病院を受診

被災した労働者が医療機関を受診するときには、必ず労災事故であることを告げましょう。

受診のタイミングに間に合うのなら、「療養補償給付たる療養の給付請求書(様式第5号)」を提出して現物給付とすれば、無償で治療を受けてもらえます。

労災指定病院以外を受診した場合には、一旦、医療費は全額支払います。のちに領収書を添付し「療養補償給付たる療養の費用請求書(様式第7号)」を労働基準監督署に提出すると、厚生労働省からかかった費用が支払われます。

全額補償されますが、給付までは時間がかかるため、できる限り労災指定病院を受診したほうがよいでしょう。

②死傷病報告書を提出する

「死傷病報告書」は、被災した労働者を直接雇用する事業主が必ず提出しなければなりません。

休業日数が4日以上のときには、遅れることなく報告書を提出しますが、4日未満であれば四半期に一度報告書を提出します。

4日以上休業が必要なときは休業補償を支給

業務上のケガや疾患で4日以上休業が必要となった労働者に対し、賃金が支払われていないのなら4日目から休業補償給付が支給されます。

至急されるのは、平均賃金の80%です。

3日間は待機期間として、平均賃金60%を元請負人が補償することが必要となっています。