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建設工事現場で落下物にあたる飛来事故に遭ったときには損害賠償の対象か

2022.04.10
分類:リスク

建設工事現場で、資材などの落下物にあたってしまう飛来事故が発生することがありますが、身体に直撃するモノによっては大事故につながります。

資材だけでなく、たとえば重量のあるモノや先鋭なモノ、有害性のある液体など身体に危害を及ぼすものは多々あり、重症化にとどまらず死亡事故につながることは避けなければなりません。

たとえば建設工事現場では、

・クレーンでつり上げた鋼材

・研磨作業中の砥石が割れ破片

・トラックの荷台に積み上げていたパイプ

などが落下物として考えられます。

特に高所作業中の場所からの落下物が直撃してしまうことは避けなければなりませんが、この場合には賠償金など発生するのでしょうか。

従業員の過失でケガしたときの賠償責任

同じ現場で作業していた作業員の落としたものにあたってしまったという事故はめずらしいことではなく、落下・飛来事故は重症化しやすい事故のため、数百万円から数千万円の補償を求められることもあります。

労働現場の管理責任はどうだったのか、安全配慮義務違反や不法行為責任などを根拠に、事故を起こした加害者作業員だけでなく、会社や元請に多額の損害賠償責任が認定されるケースも見られます。

しかし中には、被災した作業員にも問題があったとされ、労災保険からの給付だけ受け取り補償してもらえないというケースも少なくありません。

責任の所在の判断基準

労災かどうか認められるには、様々な角度から使用者が、事故が起きないための安全配慮を十分に行っていたのか検証されます。

 

作業員に注意してもらうべきこと

高所作業中にうっかり器具など落としてしまい、下にいた別の作業員にあたりケガを負わせるといった事故を起こさないためにも、高所作業中の場所は必要以上に通らないようにしたほうがようでしょう。

仮に3階以上の高さの場所から道具などを落としてしまい、その下の通行人に直撃すれば死亡事故につながるとも考えられます。

その場所を通らなければならないときには、高所作業中の場所に注意しながら、速やかに通り過ぎてもらうことが大切です。

工事現場の中には、「〇メートル離れて歩行すること」といった注意喚起を張り紙や掲示物で表示していることもあります。

高所作業中の作業員がモノを落下させない注意を払うことはもちろん重要であり、万一落ちたときのために落下防止ネットなどの対策も必要です。

しかし事故が起きる可能性はゼロと考えず、二重三重の対策を講じておいたほうがよいといえます。