建設工事では危険が伴う作業を多く扱うこともあり、他業種よりも労働災害が起きてしまうリスクは高めです。
災害のうち、「公衆災害」が発生してしまうことで、工事関係者だけでなくまったく関係のない第三者にまで迷惑をかけることになる場合や、危害が及ぶこともあります。
そこで、建設工事を行う上で注意しておきたい「公衆災害」とはどのような災害なのか、対策のポイントについて解説していきます。
公衆災害とは、公衆の生命・身体・財産に対し、危害や迷惑がかかることです。
危害には、第三者が死亡・負傷したときや、第三者の所有する家屋・車両が破損するといったケースも含まれます。
また、ガス・電気・水道などの施設や公共道路が損傷するケースも、公衆災害に含まれるといえます。
建設業における公衆災害には、
・埋設物の破損
・重機等の接触・転倒
・架空線の損傷・物損
などの事故が挙げられるでしょう。さらに資材が落下したり重機と接触したり、段差で転倒するといった人身事故まであります。
ガス管や架空線が破損すれば、多くの人々の日常生活に影響を及ぼすこととなるでしょう。
足場から資材が落下した場合には、落下物にあたった方の生命を奪うことになりかねません。
国土交通省も公衆災害を防止するために、2019年9月、「建設工事公衆災害防止対策要綱」を改正しています。
建設業に関連する公衆災害が起きる要因をみると、
・架空線の損傷…建設機械の運転者等の判断ミス・架空線の高さ確認をしていない・重機などの誘導をしなかったなど
・足場作業時の災害…資材の落下によるもの
・足場の倒壊…風圧によるものが多く、壁つなぎや控え設置ミスによるものが大半
・解体作業時の災害…解体したコンクリート片落下や飛散が大半で、不完全な作業計画や計画内容の共有不足
となっています。
そのため災害を防ぐためには、作業開始前後の監督者・職長などの安全巡視と危険箇所の是正が必要となります。
特に高齢者は若い人よりも照度が必要であり、路面照明には工夫するべきです。
子供や車椅子使用者は、目線の位置が低くなることも理解しなければなりません。
公衆災害の発生要因と対策のポイントは、不安全な行動と不安全な状態が重なったとき災害が起きると留意し、適切な行動を心掛けるように周知することといえるでしょう。