建設業の令和2年死亡災害発生状況の事故の型別を確認すると、最も多いのが「墜落・転落」による事故で、全体の36.8%を占めていました。
死傷災害発生状況の事故の型別を見ても、やはり「墜落・転落」が最も多く34.1%を占めています。
高所による作業は避けられないため事前の安全対策が重要となりますが、高所作業の工事では「墜落」を防ぐためにも着用しなければならない「墜落制止用器具」について解説していきます。
「墜落制止用器具」とは、高所作業のときに必要な「安全帯」が改称されたものであり、認められるのは、「胴ベルト型(一本つり)」と「ハーネス型(一本つり)」のみです。
従来の安全帯では認められていた「胴ベルト型(U字つり)」は使用できなくなりました。
墜落制止用器具は、2019年2月1日に新規格が適用されることとなり、原則、新規格に適合することが必要です。
猶予期間により旧規格でも2022年1月1日までは使用できましたが、現在は以前の規格の安全帯は使えませんので注意してください。
胴ベルト型の安全帯は、墜落したときに内臓を損傷したり胸部を圧したりといったリスクが指摘されています。
国際規格でも、肩・腰部・腿など複数箇所で保持する「フルハーネス型安全帯」が採用されているため、墜落による災害を防ぐために関係法令が改正されたと考えられます。
今回の関係法令の改正のポイントとして、次の3つを押さえておくようにしましょう。
「安全帯」は「墜落制止用器具」に名称が改められており、以前の安全帯に含まれていた「U字つり用胴ベルト」は、墜落制止用器具として認められなくなっていますので使わないようにしてください。
墜落制止用器具は「フルハーネス型」を原則としていますが、フルハーネス型着用者が墜落したとき、地面に到達するおそれのある高さが6.75m以下の現場なら「胴ベルト型(一本つり)」を使うこともできます。
6.75mを超える作業現場と、6.75m以下の現場が混在しているときには、フルハーネス型を使います。
高さ2m以上で作業床を設けることが難しい場所で、墜落制止用器具のフルハーネス型を使う作業を行う場合、特別教育を受けることが必要です。
ただ、フルハーネス型墜落制止用器具について、十分な知識と経験を有していると認められる場合には、特別教育での学科・実技の一部科目を省略することができます。