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建設工事現場での工事遅延による損害を最小限にするためのポイントとは

2022.05.15
分類:リスク

工期が遅れてしまったとき、建設工事関係者は様々な対応に追われることになります。

事故が発生したときと同じく、冷や汗をかく事態が起きたともいえる状況となり、たとえば工程表を変更したり予算再確認したり、施主に連絡をするなど対応は山積みです。

施主に対し遅延損害金を支払うことが必要になる可能性もありますが、不可抗力などで工事遅延が起き、物件引き渡しが遅れたとしても損害賠償金など支払わなければならないのか説明していきます。

不測の事態でも遅延損害金は発生する?

不測の事態が起きてしまったことにより、予定していた工期を延長しなければならなくなったときでも、施主に対して遅延損害金を払わなければいけないリスクは発生します。

たとえば新築住宅の工事などで施主の仮住まい先にかかる家賃を負担する程度なら対応できるでしょうが、ビル工事などですでに複数のテナントと契約を済ませ開業日も決定しているケースなどは、多額の損害賠償請求が発生してしまう可能性があります。

最近では新型コロナウイルス感染拡大の影響で工事をストップしなければならないケースもありました。感染防止対策の影響や、資材が輸入できなくなったなどの問題がその背景にはあります。

しかしこのような不測の事態で物件の引き渡しが遅れた場合でも、契約書どおりの損害賠償金を施主から請求される可能性は十分にあります。

台風や洪水なども不可抗力といえる事態であり、工事遅延の責任は施工業者にないと考えられても、やはり施主から損害賠償金を請求されてしまうケースもあるようです。

工期が遅れてしまうトラブルを避けるため、想定していない予測不可能な事態や、天災などを原因とした遅れでは、違約金の支払いが免除される条項を請負契約に盛り込んでおいたほうがよいといえます。

 

支払うのは遅延損害金だけではない

工期が遅れたときには損害金を支払うリスクだけでなく、余分な時間がかかることで施工業者の原価負担も大きくなることに注意しましょう。

重機のリース期間を延長しなければならなくなれば、それだけコストがかかります。

資材手配や搬入をやり直すためにも費用がかかり、現場監督や職人などの人件費なども工事日数が増えれるほど、どんどんかさんでしまうでしょう。

施主に対し支払う損害金は請求されなかったとしても、工事原価は追加で負担しなければならなくなるリスクは留意しておくべきといえます。