工事を行いすでに仕事は完了させているのに、発注元がその代金を支払ってくれず未払いのまま…。といったことが起きれば、下請け業者は資金繰りに苦しむことになるため早急な対応が必要です。
そこで、未払いとなっている代金を回収するためにはどのような方法があるのか、押さえておきたいポイントについてご説明します。
まずは工事代金が未払いの状態になっている理由を把握しておきましょう。仮に仕上がり等に対するクレームを理由に支払わない場合でも、本当は資金繰りが苦しいことを理由にして、支払うことができない状態である可能性もあるからです。
相手の資金繰りが好転することで支払いが行われる可能性もあることから、本来の理由を把握することでその後の回収における方針を決める上で重要になります。
電話や手紙、訪問へとだんだんと回収方法をステップアップさせて交渉を行うことが必要です。倒産していない以上、お金がゼロということはないからです。
頻繁に催促を続けることによって、早めに支払わなければ何度も催促されると捉えるようになり、優先的に支払ってもらえる可能性が出てきます。
放置すれば何も言ってこないと、後回しにされる可能性がありますので交渉は粘り強く続けることが大切です。
交渉を続けても応じてもらえなければ、弁護士に依頼し内容証明郵便を送付することとなるでしょう。内容証明郵便の内容は、支払金額や期限、支払先の口座と、期限内に支払いがない場合は法的措置をとることになり、その場合支払い金額以外に遅延損害金なども発生することを記します。
弁護士からという点で、すぐに支払ってもらえる場合もありますし、様々な業者から同様に書面が届いている場合には反応が薄い場合もあります。
それでも支払いが行われなければいよいよ訴訟という形になりますが、先に相手の資産を仮差押えする手続きを行います。
裁判になって勝訴判決に至ったとしても、相手が資産を隠す可能性がありますので、事前に仮差押えの手続きをしておいたほうが安心です。
その後、裁判で勝訴判決が出れば相手の資産を差押えるという流れになります。
差押えの対象となるのは、預金、不動産、動産などです。
工事代金の時効は、工事が終了したときから3年ですので、この期間中未払いの状態が続いているのに請求も行わず、放置していれば時効となり代金の請求はできなくなります。
ただし2020年4月1日から施行される改正民法では、権利を行使した時点から10年、権利を行使できると知ったときから5年に時効が変更されています。
いずれにしても交渉を粘り強く続け、必要であれば法的な措置も講じることが未回収分の代金を回収するために必要になると考えられるでしょう。