工期とは、工事開始日から工事完成日までの期間ですが、2020年10月施行となった改正建設業法で「著しく短い工期の禁止」についての定めがされており、無理な工期設定は禁止されています。
建設業界では工期を優先するため、現場の作業員に長時間労働を強いることが多かったといえますが、長時間労働是正の目的により著しく短い工期を禁止する定めが盛り込まれたといえるでしょう。
工期が適切な期間になっているか、工事を許可した国土交通大臣・都道府県知事・許可行政庁などが判断することになりますが、判断基準とされるのが同類の工事にかかった期間や見積もり内容、そして中央建設業審議会による「工期に関する基準」です。
そこで、中央建設業審議会が作成した「工期に関する基準」とはどのような内容なのか説明していきます。
工事の期間を決めるときには、工期全般で考慮しなければならない項目として、次の10個が挙げられます。
①自然要因(降雨日・降雪日・寒冷地の冬季休止期間など)
②休日・法定外労働時間(週休2日の確保など)
③イベント(年末年始・夏季休暇・ゴールデンウィーク・生息動物に対する配慮・騒音規制など)
④制約条件(鉄道近接・航空制限・スクールゾーンの搬出入時間制限など)
⑤契約方式(設計段階の受注者による工期設定の関与・発注方式など)
⑥関係者との調整(工事前に行う計画の説明会など)
⑦行政への申請(新技術や特許公報許可取得までの時間など)
⑧労働・安全衛生(労働者の安全確保に十分な工期設定など)
⑨工期変更(契約時の工期では困難なときの調整)
⑩その他
「工期に関する基準」が適用されるのは、公共工事・民間工事に関係なくすべての建設工事です。
「工期」とは、建設工事着工から竣工までであり、施工前の設計や資材調達などの準備期間は含まれません。
資材調達が順調に進まないことで工期に影響するときには、準備期間を十分考慮した上で工期を設定するようにしましょう。
建設工事で適正とされる工期を設定するための基準であり、基準に反する著しく短い工期による請負契約は禁止されています。
著しく短い工期で設定されているかについては、許可行政庁が判断することになりますが、基準による判断以外にも同種類似工事の実績などとも比較しながら判断します。
仮に著しく短い工期による請負契約と判断された場合、発注者は勧告や指示の対象となるため注意してください。