解体工事や建設工事を行ったときに発生した廃棄物の運搬は誰でもできるわけではありません。
たとえば元請業者自らで廃棄物を処分場に運搬するときには産業廃棄物収集運搬業許可を取得する必要はありませんが、自らで運搬しないときには許可を受けている収集運搬業者に委託することが必要です。
そこで、解体工事で発生する廃棄物の運搬に関するルールについて解説していきます。
建設工事で発生する廃棄物の排出事業者は「元請業者」であるため、元請け自らで廃棄物を処分場まで運搬するのなら、別途「産業廃棄物収集運搬業許可」を取得する必要はありません。
しかし元請け自らが運搬しないのであれば、産業廃棄物収集運搬業許可を取得している収集運搬業者に委託することになります。
下請業者が運搬するときには、次のすべてに該当する場合であれば、産業廃棄物収集運搬業許可を取得していない下請けでも運搬可能とされています。
・運搬する廃棄物が特別管理産業廃棄物ではない場合
・建築物などの解体・新築・増築を除く建設工事または建築物などの瑕疵の補修工事であり、当該工事の請負代金額が500万円以下である場合
・一度に運搬する廃棄物の容量が1㎥以下の場合
・運搬先が排出場所と同一の道府県内または隣接都道府県で、元請けが使用権限を有する保管場所または処理施設である場合
・運搬途中に積替え保管は行わない場合
・産業廃棄物を運搬することを請負契約で書面化している場合
・必要事項を記載した別紙を作成・携行する場合
「解体工事業」とは、建築物を壊すなど工作物の解体を行い更地にする工事です。
家屋などを取り壊したりその他土木工作物など解体したりという工事は、建設業許可のうち解体工事業を取得しておくことが必要です。
一定規模以下の工事であれば必ずしも許可を必要とするわけではないものの、解体工事を行うときにはたとえ500万円未満の工事でも、元請けや下請け問わず許可が必要です。
解体工事業登録でも解体工事は可能ですが、この場合には請負金額500万円未満の工事までとされます。
一般的な家屋などを解体する工事で発生する廃棄物は、主に次の8品目となります。
・廃プラスチック類
・紙くず
・木くず
・繊維くず
・ゴムくず
・金属くず
・ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず
・がれき類
これらの品目に、
・汚泥
・廃油
を加えたものが建設廃棄物です。
解体工事に関しては、元請け・下請け共に建設業許可または解体工事業登録が必要となることは忘れないようにしてください。