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建設業で増える「物価高倒産」、資材高騰がコロナ禍に追い打ち

2023.02.26
分類:その他

建設業では、資材や原燃料などの価格が高騰したことで倒産してしまうケースが増えつつあります。

さらにロシアのウクライナ侵攻をきっかけとして、資材そのものが不足している問題も抱えており、より価格を高騰させる要因になっていると考えられます。

建設業界はこれまでにない危機に襲われているといえ、値上げに追い込まれた建材や設備メーカーは、供給網を安定させる変革を急務としているケースも少なくありません。

資材高騰により倒産した企業の数

資材高騰で倒産してしまった建設会社は少なくなく、帝国データバンクの調査からも20228月の「物価高倒産」は34件で前年同月比2.6倍に急増していることが確認できます。 

2218月の物価高倒産の累計は150件で、調査開始から18年で最も多かった21年の138件を上回っており、8月時点で年間最多記録を更新しています。

8月までの累計を見ても、建設業は運輸業に次ぐ多さでした。

値上げ難による倒産

帝国データでは、資材や原燃料など仕入価格が上昇したことに加えて、取引先から値下げ圧力を受けたことにより価格転嫁できなかった「値上げ難」による倒産を「物価高倒産」と定義しています。

2218月に発生した物価高倒産は150件ですが、このうち建設業は34件であり、全体の23%を占めています。

運輸業が倒産件数の最も多い42件で全体の28%を占めていますが、建設業はこの割合に次ぐ多さであり、製造業の23件や卸売業の23件を5割近く上回っている状態です。

また、建設業のうち倒産したのは総合工事が19件、職別工事10件、設備工事5件と建築分野工事を手掛けている中小・零細企業がほとんどという結果でした。

人手不足による倒産

建設業は、物価高が影響している以外にも、新型コロナウイルスの感染拡大や人手不足を原因として倒産しているケースも多く見られます。

228月の建設業倒産件数は98件で、前年同月比25.6%増という結果であり、月100件前後で推移しています。

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、飲食店や宿泊施設などの工事計画が中止・延期・縮小され、業績悪化してしまった中小・零細建設業者は少なくないといえるでしょう。

経営体力を消耗している状態に加え、ロシアによるウクライナ侵攻や急激な円安進行により、物価高が追い打ちとなって事業継続をあきらめるしかないケースも増えているようです。

価格転嫁を目的にした値上げの動きは企業間で広がりつつあるものの、十分に転嫁できているとも限らず、価格据え置きの他社と競争が激化してしまい売上が減少するリスクもあると考えられています。