2020年に調布市の外環道トンネル工事付近道路が陥没し、2021年には東京都武蔵野市吉祥寺や北海道三笠市などで大規模な道路陥没が発生しました。
そこで、なぜ道路陥没は起きてしまうのか、その背景と考えられる理由について簡単に解説していきます。
トンネルなど地下掘削工事を実施するときには、安全に工事を進めるためも地質の調査を適切に行います。
場所や地質に合った工法を選び施工することになりますが、地質調査しても目視確認ができない地下の状況を正確に把握することは困難です。
日本の地質は場所により複雑になっており、テレビなどで報道される大規模な道路陥没事故だけでなく、小規模な陥没は日常的に発生しているといえます。
道路陥没が起きる理由として、冬場の凍結・融解などで急激に温度が変化したことや、路面水の影響によりできた小さなひび割れから損傷が始まってアスファルトがはがれ、傷んだ上を車が走行し穴が深く大きく進行したとも考えられます。
他にも下水道管などによる地下埋設物や、過去の防空壕跡などが原因であるケースなどあるため、理由はいろいろです。
埋設管などの老朽化で穴が開くことや、継ぎ目に隙間ができることにより、土砂が管内へと吸い込まれた結果、管の周囲に空洞をつくるといった可能性もあります。
空洞が大きくなれば地盤の支えが弱くなり、地上で道路が陥没するという流れです。
国土交通省が公表している資料によると、管路施設を原因とした道路陥没事故は年々減少傾向にあるとされています。
しかし年3千件発生しており、管路以外が原因の道路陥没を含めると年9千件という数です。
日本の地下には、約46万キロという下水道管が埋まっているといわれており、その長さは地球11周分以上といえます。
そして老朽化した下水道管は全国10万か所以上といわれており、いつ・どこで道路陥没の事故が起きても不思議ではないといえるでしょう。
道路陥没前に空洞を見つけることが必要ですが、その調査に向けて、電磁波レーダーを搭載した専用車などを使った路面下空洞探査が行われています。
もしも道路陥没などを見つけたときには、「道路緊急ダイヤル(#9910)」に連絡しましょう。
道路の穴や路肩崩壊など、道路の損傷や落下物、路面の汚れなど道路に関する異状について24時間通話料無料で受け付けています。