建設工事において欠かすことのできない設計図書とは、設計図と仕様書で構成されています。
建築基準法では、設計図書とは建築物やその敷地、またはこの法規で規定される工作物に関しての工事用の図面や仕様書のこととしており、建築士法でも建築物の建築工事を実施するために必要な図面や仕様書との記載があります。
いずれにしても建設工事を行う上で欠かすことのできない設計図と仕様書が合わさったものであるといえますが、それぞれどのような形で作成されることになるのでしょう。
まず設計図は、建物の構造や形状などを描いたものであり、平面図、立面図、断面図などいろいろな種類があります。
仕様書は工事の内容やその方法を具体化したものであり、図面ではあらわすことができない内容が記載されます。
さらに仕上げ表で、壁や床、外壁などの仕上げについて記載されることになります。
建物1個を建てる上で、何枚の図面が必要になるのかについては設計者により異なります。
作成される設計図書には、
①工事を実施する上で必要となる寸法やデザインを表示すること
②見積もりを行う際の資料
③工事契約の際の契約書
という役割がありますが、この工事契約における契約書になるという役割がとても大切です。
建築関係の裁判などが行われたとき、図面がないといった事例が多くみられます。ただ、建築主が紛失したのではなく、そもそも図面が存在しないといったケースの場合には、図面がないのに契約した建築主にも過失が認められることとなるでしょう。
作成された設計図書は、建物完成後には名称を変え保管されることになります。工事途中で変更工事があった場合、その内容を反映したものが竣工図書として作成されます。
なお、設計図書は作成する図面の種類や枚数などに応じてかかるコストも変化します。そのため、会社によっては一部の作成に留めておこうとするケースもありますが、本来必要とされる設計図書に不足が生じているとそこからトラブルに発展する可能性も出てきてしまうでしょう。
図面が多い理由は、意図を正確に施工会社へ伝えることを目的としているからであり、工事金額の根拠を示す契約書ともなるからです。
設計図書の重要性を認識し、一部の作成に留めておくといったことではなく、しっかり作成するようにしましょう。