建設業界では「棟梁(とうりょう)」という特定の方を呼ぶときの言葉を耳にすることがあります。
普段馴染みのない言葉のため、一般の方なら初めて耳にするという場合もあるようですが、建設業界ではよく耳にする言葉でもあります。
そこで、棟梁とはどのような人を指す言葉なのか、どうすればなれるのかご説明します。
もともと棟梁とは大工の親方のことを指す言葉で、大工工事の一連の流れを体得した方のことです。
施工の仕切りや大工や職人の取りまとめなど、現場で統括する立場にある方を呼ぶ時に使いますが、大工だけでなく石工の親方なども棟梁と呼ばれることがあります。
組織や仕事を束ねる中心人物を指す言葉を棟梁といいますが、棟(むね)と梁(はり)という建物における重要な構造にたとえた呼び方です。
武士や僧侶の社会における筆頭格を指す際に使われていました。それが現代においては、大工や石工の元締め、現場監督、現場代理人などを指し尊称として扱われる言葉とされています。
ただ、土木工事現場の現場監督を棟梁と呼ぶことはなく、一般的に親方と類義語とした扱いのため、大工や石工以外の親方を棟梁と呼ぶことはほとんどないといえるでしょう。
1つの建築物を完成させるまでには、大工をはじめとする様々な職人、電気やガスなどの専門事業者などが関わることとなります。
本来、これらの方たちを取りまとめるのは元請である現場監督が行いますが、現場監督は複数の現場を掛け持ちすることが多いため、1つの現場に常駐することはありません。
そこで、大工の棟梁が現場監督に代わり、現場で働く方たちを統率しリーダーとして工事全体を安全に遅れなく進めていく役割を担います。
工事の進捗管理、指示、資材発注、足場や重機の手配、左官職人・とび職人の手配、安全管理、施主への説明など、行っていることは多岐に渡るといえるでしょう。
大工の棟梁は工事を監督し、部下などの指導も行うため自身が高度な技術や知識をもち、建築作業全体に精通していることが必要です。
棟梁となるための明確な基準などは設けられてはいませんが、5年くらいかけて様々な現場での経験を積み技術を身につけている方でなければ任せることはできません。
早くても3〜4年、棟梁として通用するまでには最低でも5年、本人に自信がつくには10年は必要であると考えられます。