建物の建設工事を行う上で注意しておきたいのは、完成した建物の瑕疵に関するトラブルです。
この問題を解決するためには、建物の調査や鑑定が必要となりますがその費用はどのくらいが相場なのか、そして費用の負担は誰が行うこととなるでしょう。
建築の専門家である建築士などの私的鑑定に係る費用は、どの建築士に依頼するか、個別の事情により変わるといえます。
ただ一般的な相場として、書面作成を伴わない簡易的な鑑定なら10万円程度、鑑定書作成を必要とする小規模の居住用住宅なら20〜40万円程というケースが比較的多いようです。
専門家によっては1時間1万円などかかた時間により費用を算定することもありますし、他の分野の専門家にも協力してもらうことが必要な案件や、特殊な機械や検査が必要という場合には100万円以上の費用がかかることもあります。
実際には鑑定を依頼する建築士などの専門家、建物の規模、調査を必要とする対象の箇所、調査・判断の精度などで費用は変わってくると認識しておきましょう。
建物の瑕疵において私的鑑定を依頼する場合に誰がその費用を負担するのか、という点については原則、鑑定を依頼した方が負担することになります。
瑕疵に責任がある売主や施工会社が負担することになると思うかもしれませんが、実際には建物を取得した方が取引に伴い負ったリスクの一環として考えることも少なくありません。
建物売買や建築の依頼については、施主や買主はその後に起きるトラブルに対応する費用を負担しなければならないというリスクを負っています。
そのリスクを最小限に抑えるために、どの業者と取引をするのか選ぶことができる立場であるため、別の業者を選べば避けることができたと考えられるからです。
ただ状況において、私的鑑定に係る費用を施主や買主が負担するのは適当とはいえない場合もあります。
そのため状況次第では施主や買主が鑑定にかかった費用相当額を売主や施工会社に請求できるケースもあると理解しておきましょう。
なお、これらはあくまでも私的鑑定に関しての場合であり、裁判所が行う鑑定では鑑定前段階に申し立て側が予納金を支払います。
裁判の判決によって負担する割合が決まるので、最終的に予納金を支払った方と鑑定費用を負担する方が異なってくることもあるということです。