建設工事に関係する大手建設会社などの中には財閥企業と呼ばれる場合がありますが、財閥企業とは、戦前に起業家一族が創業・買収した企業のグループのことです。
財閥は戦後に解体されましたが、現在も資本面や人的な部分で結束力をもつ企業群となっています。
財閥には三菱・三井・住友・安田の他、渋沢・古河などがあり、それぞれ創業家の優秀なビジネスセンスで多種多様な事業に進出しました。
しかし巨大なグループとなった財閥は、過度な独占状態が問題視されて戦後にGHQに解体され、それぞれの会社を財閥とは関係のない会社となります。
しかし現在でも財閥企業と呼ばれる大手建設会社などはありますが、これは戦後に三菱グループや三井グループなど、各財閥系だった企業が集結し、グループとして存在することとなったからです。
再集結後は株式を持ち合い、グループ各社の幹部級たちが集まって会合を開くといった結束力を見せています。
財閥企業の場合、同じグループの企業を顧客として保有することがメリットといえるでしょう。
たとえば三菱グループなら、三菱倉庫は三菱グループ企業の倉庫として使ってもらうことができますし、三菱自動車の車をグループ企業内の事業車両として使うこともできます。
また三井グループであれば、三井住友建設が三井・住友関連会社にビル建設や工場建設を依頼することとなるでしょうし、三菱製鋼や住友ゴム工業などで使う素材をグループ内の会社に依頼すればグループ自体の事業を円滑にすることができるでしょう。
資金面で困ったことがあれば、三菱UFJ銀行や三井住友銀行などに融資の相談ができるでしょうし、販路の開拓についても三菱商事、三井物産、住友商事などに任せれば安心です。
財閥系ではない企業よりも、つながりが深いため恩恵が多いといえる点で大きなメリットなるでしょう。
しかし財閥グループから切り離されてしまったときのダメージは大きいといえます。
過去、住友金属工業は新日本製鉄、JFEスチールに続いて国内シェア3位の高炉メーカーでした。しかし製鉄業界は規模の大きい会社ほど安く鉄を作ることができるため、世界ランキングでは日本は低い状況だったのです。
国内1位の新日本製鉄が住友金属工業を買収し、規模を拡大することとなり現在の「新日鐵住金ができました。2019年4月に社名が変更され日本製鉄となり、過去の住友金属工業という名称はどこにも存在しなくなったのです。
一般的に買収された側の会社は立場も弱く、社内での立場も降格となったり異動で転々とさせられたり、さらには従来までの仕事のやり方を否定されたり、これはどの企業でも見られる合併・買収後の事象といえるでしょう。
住友金属工業も同様だったかまでは確認できていませんが、財閥系の企業だからと安心できない点もあるということです。