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建設業の労災保険は他の業種と異なり特殊の扱い?

2019.02.04
分類:その他
建設業の労災保険は、一般的な労災保険とは異なった特徴があります。それは1つの建設工事現場に元請会社や下請会社、一人親方など様々な人たちが出入りすることになることが理由です。 元請と下請の違いは、仕事を誰から請け負っているかですが、直接依頼者から仕事を請け負う立場にあるのが元請会社であり、その元請会社からさらに仕事を請け負う立場にあるのが下請会社です。 建設工事現場で加入する労災保険は、それぞれを独立した事業として扱わないなど、特別なルールがあります。

建設工事現場全体が1つの事業体になる

建設業の労災保険は、建設工事現場の元請会社とそれぞれ下請会社は一体とみなされ、工事現場全体を1つの事業体とした扱いとなります。 そのため、建設工事現場で労災保険加入手続きを行うのは元請会社で、保険料の納付も現場ごとに元請会社が行います。 ただし、雇用保険や社会保険、事務所労災などはそれぞれの会社や事業で手続きを行うことが必要です。

元請会社が加入した労災保険で下請も補償される

元請会社が工事現場全体の労災保険に加入することで、建設工事現場で作業中などに事故が発生した場合には、元請会社や下請会社で雇用されている人たちは、元請会社で加入している労災保険で補償されることになります。 ただし、元請会社が加入する労災保険は、工事現場に関係する労働者が業務上や通勤途上で追った災害の給付を目的としています。そのため、事業主や役員、一人親方などは労働者とはみなされず、元請会社の労災保険で補償されないので注意しましょう。

労働者とみなされない人のリスクはどのように補てんする?

事業主や役員、家族従事者、一人親方なども、労働者とみなされないとしても現場で仕事をしていれば事故に遭うリスクは同じです。 そのため、一定の加入条件を満たすことで労災保険特別加入制度を利用することで労災給付を受けることが可能になります。 □特別加入に必要な一定の加入条件 事業主の場合、自らが元請で行う工事に対して労災加入していること、労働保険事務組合に労災手続き事務委託していることが条件となります。 一人親方の場合は、一人親方の労災を取り扱う団体や組合に加入することが条件として必要です。

建設工事現場の労災保険料の計算方法

建設工事現場で加入する労災保険の保険料は、すべての従業員の賃金総額に労災保険料率をかけて算出します。 しかし、建設業にいたっては元請会社だけでなく下請会社も1つの事業体とみなしますので、下請会社の従業員の賃金がわからなければ保険料の計算ができません。 そこで、 「請負金額×労務比率×労災保険料率=労災保険料」 という算式を用いて計算することが特別に認められています。

労災保険の手続きを間違わないように行うことが重要

建設業は一般的な業種と異なり、労災保険の考え方が特殊ですので、正しく加入手続きが行われておらず、事故発生後にトラブルが生じないよう、手続きを間違いなく行うようにしてください。