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工事管理で重要になる実行予算の目的や作成手順

2020.10.22
分類:その他

建設業界では工事の全体を網羅する基本予算だけでなく、現場ごとに実行予算を作成することが一般的です。

 

適切に実行予算を作成すれば、現場ごとの収支管理にも有効となり、赤字や損失を回避させることに役立てることもできるでしょう。

工事監理で実行予算はなぜ必要?

実行予算とは工事担当者が工事の手段・費用・期間・最終利益を示すことです。

建設業は同一製品を反復生産するわけではないので、工事によって造る生産物は現場により違います。そのためどのくらい費用がかかり収益が出るのか、コスト管理や収益率など会計部分の調整が難しいといえるでしょう。

適切な管理ができていなければ赤字や損失を発生させることになり、その原因を追究することもできなくなってしまいますので、実行予算を作成しておくことが重要です。

また、実行予算を作成すれば工事責任者の管理能力の向上にもつながります。実行予算策定には工事責任者が深く関わっていくため、判断に大きな責任が求められることとなり、責任者の当事者意識を高め管理能力の向上につなげていけます。

それに加え実行予算は工種や工程によっても区分されるので、それぞれのプロセスの責任者を明確化させる効果も期待できるはずです。

 

実行予算を作成するための手順

実行予算を作成する場合、まずは実行予算の作成者を決めることが必要ですが、一般的には工事現場の責任者が担当することになります。

担当者を決めたら一般的な見積書から数値の組み換えを行い、見積書に記載のある数字などを客観的指標から実行予算として作成していきます。

実行予算は工事のコスト管理や収益率判断の大切な指針になると認識し、各数値に根拠を用いた現実的な数字を入れ込んでいくことを意識するようにしてください。

実行予算案が作成できたら各部署に対し、調整・決済を行います。

 

精度の高い実行予算作成を

精度の高い実行予算の作成ができた場合、工事着手後に赤字や損失を発生させることもなくなりますし、万一発生させたとしてもその原因に早く気づくことが可能となります。

工事現場はそれぞれ態様が異なるので、経験や勘など通用しないことも少なくありません。

そのために実行予算という明確な指標を定めておき予算管理を行うことで、各担当者の主観などを排除することできます。正確な実行予算を作成し、業務を効率化かせて赤字・損失回避に繋げていきましょう。