大手建設会社の大林組は、超高層建築物を中心として採用されているブレーキダンバーの摩擦接合部について国土交通大臣から認定を取得しました。
大林組により開発された斜材組み込み型ブレーキダンパーとは、長大橋に建築用制振装置を活用した摩擦型制振装置です。橋脚付近に設置すれば、揺れを大きく抑制させることが可能となることが大きなメリットいえます。
斜材組み込み型ブレーキダンパー1基あたり、1.3~3.8メートルの長さで、減衰力は2600~9800kNとされています。たとえばレベル2地震動が軸方向に加わった場合でも、斜材は降伏しにくくなり、復旧する際にはボルトを緩めもとの位置にダンパーが戻ります。
このブレーキダンパーは自動車のブレーキを応用し、摩擦力で地震が発生したときに建物が揺れてしまうことを抑えることができます。地震発生後も損傷せず、交換する必要もありません。
摩擦力により揺れを抑え、中低層建築物に適用させることを用意としており、設計期間を短縮させるだけでなくコストを抑えることも有効となりました。
同等性能のオイルダンパーよりも費用を抑えた設置が可能で、高さ60メートル超える高層建築物ですでに70件以上採用されています。
ただ、近年は大規模地震が発生していることから、60メートル以下の中低層の建物に適用させる声も高まっているようです。
ブレーキダンパーを含む制震ダンパーのほとんどは、強度や変形性能の基準は規定されていません。
超高層建築物の構造設計は、建築確認申請前に個別建物の構造安全性能の評価を得る上で時刻歴応答解析などを設計することが必要となります。
建物に設置されている制震ダンパーの効果を個別に反映させ最適化させることもできるでしょう。
しかし中低層建築物で制震ダンパーを適用させるには、建築確認申請に必要な設計手法だけでなく追加で超高層建物の設計と同じ高度な設計手法を必要とします。
設計期間が長期化し、費用負担も大きくなってしまうことがデメリットです。
大林組が開発したブレーキダンパーを構成する摩擦接合部に対しては、構造試験の実施により妥当な性能が認められ、国土交通大臣が認定することに至りました。
日本建築センターからも一般評定を取得しているため、建築確認申請による手続きのみで制震構造の実現が可能となり設計期間は3か月以上短縮させることができるでしょう。
建築確認申請に必要とする設計手法だけで、中低層建築物にブレーキダンパーを適用することもできます。
従来までは構造部材としてブレーキダンパー効果は反映できなかったため、柱や梁の鉄骨を必要以上に大きくしなければなりませんでした。しかし国土交通大臣認定を取得できたことにより、ブレーキダンパーが構造部材として認められることとなり、従来よりも躯体鉄骨コストは1割から2割低減させることが可能です。