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建設業が注視したい日銀の大規模金融緩和維持決定の内容

2021.10.15
分類:その他

日銀は2021716日まで開催していた金融政策を決める会合で、新型コロナウイルスの影響が続いていることも踏まえ、現在の大規模金融緩和策を維持し今年度のGDP(国内総生産)の伸び率見通しを引き下げました。

また、建設業にも関係する気候変動へ対応するための投資や融資支援については、銀行に新たな資金供給の仕組み案などもまとめたようです。

新型コロナが収束しない状況での対応

金融政策を決める会合では、短期金利はマイナス、長期金利は0%程度に抑える国債を買い入れる大規模な金融緩和策を維持することについて賛成多数で決定しています。

経済と物価の見通しを「展望レポート」にまとめ公表し、2021年度の実質GDP(国内総生産)の伸び率は、中央値でプラス3.8%と前回の4月時点から0.2ポイント引き下げとなっています。

新型コロナウイルス感染拡大はいまだ収束しておらず、その影響が続いている状況のため、当面その影響を注視しつつ必要なときには追加の金融緩和に踏み切るということです。

 

気候変動対応への投資・融資を支援

銀行などの気候変動対応の投資や融資支援については、一定の情報開示がされているなど条件として、温室効果ガス排出削減などに対する取り組みへの投資や融資は、日銀が銀行に金利0%で貸し付けするようです。

この資金供給は年内に開始され、2030年度までは実施するとしています。

来年度以降は、飲食や宿泊など対面型サービス業をメインとし、回復することが見込まれています。

そこで、来年度以降の見通しはプラス2.7%とし前回から0.3ポイント引き上げ、再来年度は前回と同じプラス1.3%としているようです。

物価の見通しは、生鮮食品を除く消費者物価指数が中央値でプラス0.6%と、前回から0.5ポイント引き上げとなっています。

これは、ワクチンの接種が進んでいる海外で経済活動が本格的に再開し、原油などエネルギー価格が上昇しているからのようです。

感染症が収束に向かえば、企業の価格転嫁の姿勢も少しずつ積極的になると予想し、来年度の物価の見通しはプラス0.9%と前回よりも0.1ポイント引き上げ、再来年度はプラス1.0%で据え置かれています。

 

気候変動対応への投資や融資を支援する背景

日銀が気候変動へ対応するための投資や融資を支援する背景として、海外の中央銀行では気候変動問題に積極的に関与する動きが拡大しているからです。

当初は物価の安定という日銀の使命とは関係が薄い問題に関与することに慎重な姿勢を示していたものの、日本政府は2050年までに温室効果ガス排出をゼロとする目標を掲げており、日銀も政府と協調し取り組むことや海外の中央銀行と足並みをそろえることが必要となってのことでしょう。

民間金融機関に気候変動対応の支援をすることは、長い目で見たマクロ経済安定に貢献すると説明しているようです。