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建設・建築業界で技術継承が進まないその背景と問題点とは

2022.05.11
分類:その他

建設・建築業界では深刻な人手不足が続いており、日本の少子高齢化などの影響を受け、技能者の平均年齢は年々上昇傾向にあります。

 

技術継承したくても、引き継いでもらう相手がいない状態といえますが、一体何がその障壁となっているのか、背景と問題点について説明していきます。

建設・建築業界に入職する若い世代は少ない

建設業界では、若い世代の入職者が増えないことや、入職しても定着しにくいといった現状を十分把握し、適切な方策を時代の流れに沿って実施していかなければなりません。

日本は少子高齢化社会となり、今後はさらに厳しい求人環境になることが予想されるからです。

厚生労働省が公表している情報でも、建設業で高校卒業後、3年以内の離職率は48.5%という高い割合を示しており、人が入らないだけでなくすぐに離職してしまう問題を解決しなければならないといえるでしょう。

なぜ人が入らず、入ったとしてもすぐ離職してしまうのか、その理由を洗い出し真摯に受

け止め、トータルでの待遇改善に早急に取り組んでいくことが必要です。

雇い入れ側である工事専門業者の受入体制を整備し、労働時間や休日、給与体系や保険加入、作業環境など労働条件を整え、ハローワークなど期間を通じて多くの若い世代に応募してもらう取り組みを行っていきましょう。

 

人材育成に関する調査でも技術承継の課題は懸念されていた

厚生労働省が行った15年以上前の「ものづくり人材育成に関する調査」でも、現在抱えている課題がすでに懸念されていたことが確認できます。

たとえば懸念されていた項目として多かった回答は、

・高い技能を保有する技能者が高齢化している

・技能の習得に時間がかかる

・中堅技能者の力量が不足している

・若手技能者が確保できない

・技術継承に取り組む時間がない

・技能伝承の教え方の具体的なノウハウがない

などです。

他にも技能の水準が技能者層で異なることや、技能を必要とする仕事が少ないといったことも挙げられていたようです。

しかし今の日本では、技能を保有する技能士の技術水準を明示・維持するため、資格取得・技能講習・技能認定が義務付けられています。

資格取得は技術継承や技能継承の1つと考え、知識と技術を適切に身につけていくことが必要と周知していくことも必要となるでしょう。

 

深刻化する技能承継問題を解決するための動き

建設業の技能継承問題は深刻化しているため、それを補いためのデジタル技術に注目が集まっています。

国土交通省でも技能者の動きを分析し、効率的に作業を進めていくコツなどを発見することを目指しています。

従来までであれば人を伝って伝授されていた技能のコツを明確にし、次世代へと効率的に継承するための試みと考えられるでしょう。