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工事現場で転落死が起きた場合企業が負うべき負担とは?

2016.06.08
分類:その他

損害賠償請求へ発展するケースも

従業員が業務上ケガや病気をしたという労災事故の際には、企業が治療費を負担し災害補償を行う必要があることが労働基準法で義務付けられています。実際は業務上のケガや病気については労災保険からの補償となるため、直接企業から従業員に治療費を支払うということはないでしょう。しかし企業側に安全配慮義務違反があった場合、損害賠償を請求されることもあります。しかもその額は数千万円という多額のケースも少なくありません。

 


安全配慮義務を怠っていませんか?

企業は従業員が安心して働けるために、生命や身体の安全を確保できる環境整備や配慮を行う必要があることが労働契約法に定められています。もしも企業がこの安全配慮義務を怠り従業員に損害が発生した場合には損害賠償責任を負うことになります。


転落死事故の過去の裁判例

ビル工事現場の2階床の開口部より従業員が転落死するとうケースがありました。これは開口部に転落防止設備として囲いや手すりなどを設置されておらずに起こった死亡事故です。そのため企業は損害賠償の支払いを命じられるという結果となりました。


労災だけでは補償しきれない

工事現場で転落死が起きても労災保険では1,000万円程度しか補償されません。企業が損害賠償を負担する必要性が出た場合も考えて、労災保険とは別に上乗せできる保険を検討しましょう。


検討したいのは「労働災害総合保険」

労働災害総合保険は労災保険が適用される場合に給付が行われます。死亡、後遺障害、休業の場合に補償が行われ、加入方法も人数を記入するだけなのでその日だけのアルバイト従業員にも適用されます。

また、一般的な傷害保険と比較すると保険料が安くなっているのも特徴です。通勤災害は企業に損害賠償責任が生じることはなく補償も労災保険から受けることができるという性格を活かして、保険料をさらに安くするために通勤災害の特約補償を削ることもできます。

逆に補償を手厚くしたい場合には、従業員の家族への葬祭費や花代など災害付帯費用を補償する特約を付けることもできます。補償内容や補償額、定額方式か定率方式かなどで保険料が変わります。企業の状況などを踏まえて検討するようにしましょう。


従業員とその家族、企業を守るために

ケガや病気、後遺障害や死亡などが起きるリスクに対してのマネジメント対策として、福利厚生制度をバックアップする労働災害総合保険を検討しましょう。保険料は全額損金算入することができますし、名簿などの提出も必要ないため手間もかかりません。ただし企業の状況によっては、その他の保険のほうが適する場合もあるかもしれませんので、保険の内容などをよく確認してから加入するようにしましょう。