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若者が建設業離れしている原因とは?深刻さを増す建設業界

2016.08.24
分類:その他

外部環境の影響が大きい建設業は、東日本大震災後の復興事業の継続や2020年の東京オリンピック需要が重なるなどで経営環境は良い状況と言えるはずです。しかし建設業を営む経営者の多くが抱える悩みとして、仕事はあるのに人手が足らないということにあるようです。

 

 

建設業は外注依頼で成り立つ業界?

大型の公共工事を行う場合にはまず大手ゼネコンが受注して、工事や建設会社の下請けに外注業務を依頼していきます。下請けも一次下請けからさらに二次、三次と多重の構造ができている状況です。そのため国立競技場やオリンピック施設といった大規模な工事の受注会社は大手ゼネコンの名前になっていますが、工事を実際に行っているのは下請け業者が中心です。大手ゼネコンの完成工事高に対する外注費の割合は6割以上を占めている場合もあります。

建設業界の人手状況

1995年から2015年までの20年間における建設業就業者数を見た場合、他の産業の就業者数はほとんど横ばいなのに建設業は年々減少しています。さらに50代以降の建設業従事者数は変化していない半面で、20代や30代といった若年齢者層は半減しています。このことにより、高年齢者層が引退すれば人員はますます不足していくと予想されるでしょう。

若者が就きたがらず、すぐに辞めることが理由?

建設業のイメージは休日の少なさ、長時間労働、危険といった3Kが定着していることもあって、若い人が就きたがらずもし就いたとしてもすぐ辞めるという代表格になってしまっています。新しく若い人が働き出しても、現場が年配ばかりで面白くないという悪循環も辞める原因になっているようです。

公共工事設計労務単価の引き下げが原因に

国土交通省と農林水産省が決定する公共工事設計労務単価は2012年頃まで一貫して引き下げられてきました。この引き下げが現場労働者にシワ寄せとなって現れてしまい、若者が建設業界を離れることを促進させたと言えるでしょう。

人手不足解消の国の策

建設業界が抱える人手不足は、震災復興計画は出来ているのに被災者の住宅がいつまでたっても完成しないことや、競技会場建設を計画通り進ませない問題に発展させています。国もついに取り組みとして2013年度から公共工事設計労務単価の急速な引き上げや、2016年にもさらに改定されています。それでも若年定着率が悪いことに加えて人手不足が重なっていることからあまり効果として現われていない状況です。

2020年の東京オリンピックは大丈夫?

今年開催したリオ・デジャネイロ五輪の際に、競技会場建設が遅れていたことがメディアによって報じられていましたがこのことと同じことが4年後日本で起きないとも限りません。人手不足が解消されるために国でも様々な策が実施されていますが、いまだ現状としては解消に至っていない状況です。