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建設業の社会保険未加入対策とは?加入は免れないのか?

2016.09.14
分類:その他

建設業は元請、下請け、さらには孫請けといった下請け重層になっている特殊な業界です。その特殊な業界であることからも以前から社会保険の未加入企業の存在について問題視されています。国土交通省はこの社会保険未加入事業所に対しての策を次々と打ち出してきましたが、平成274月以降からさらにその対策が強化されて実施されています。

 

 

未加入対策の対象になる社会保険とは

一般的に社会保険は健康保険と厚生年金保険で成り立っていますが、未加入対策の対象になる保険は雇用保険、健康保険、厚生年金保険の3つです。社会保険制度は労働者である個人や事業主が任意で加入するもではなく、事業所単位で加入することになります。

未加入対策の内容とは

加入義務のある許可業者についての社会保険加入率100%を目指して、国土交通省は平成29年度までにすべての建設業者へ社会保険への加入の指導を行っています。そのため平成29年度以降は、社会保険等未加入の事業者は契約がもらえなくなったり、未加入労働者は工事現場に立ち入ることができなくなるとも言われています。

建設国保組合に加入している場合は?

一人親方や協会けんぽの被保険者にならない5人未満の従業員を雇用している事業主の場合、建設国保険組合に加入しているのであれば必要な健康保険に加入していると判断されるため協会けんぽに加入しなおすことは求めらません。5人以上の従業員を雇用している事業者や法人が建設国保に加入している場合でも、国保に加入している個人事業主が法人化したケースや、もしくは従業員が5人以上に増加したケースということもありますので必要な手続きを行っていれば適法と判断されます。医療保険制度は国保組合、年金制度は厚生年金に加入している事業所なら新たに協会けんぽに加入しなおさなくても良いことになっています。

保険未加入の場合にはどうなる?

保険未加入の場合には事業所に許可行政庁から建設業許可や更新手続きの際に行われる審査の時に加入指導が行われます。指導があったのにもかかわらず保険に加入しない場合には厚生労働省の保険担当部局から指導が入ります。それでも保険に加入しない場合には保険担当部局が職権により強制で保険加入手続きが実施されますが、実態が以前から存在していた場合には最大で2年遡った分の保険料も請求されますのでより負担が重くなるでしょう。

建設業者の費用負担は増大される

社会保険未加入対策を実施していけば、従業員を雇用する建設業者は保険料の事業主負担分である法定福利費の負担が増えます。費用負担を回避するために、雇用関係を解消して一人親方とし、一人親方と請負関係を締結しようとする建設業者が増える危険性があります。そのような危険性を回避するために、形式上は請負関係にある場合でも実態が雇用関係であれば保険関係法令が適用されるなど基準について徹底していく方針のようです。そのため今は未加入でも、いずれは加入する必要が出てくるということを認識しておく必要があるでしょう。