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建設業で事故多発の原因とは?三大災害誘発の要因について

2016.10.06
分類:その他

「安全第一」という言葉があるように、工事現場ではそこで働く人たちの安全を守ることが最重要課題だ。第1回は、建設業における安全の重要性、そして事故が起こる原因とは何かについて、考えてみよう。

 

 

三大災害とは

1「墜落・転落災害」

建設労働者は、作業床の端などの様々な種類の端から墜落・転落している。最もよく見受けられるのは、床、屋根及び床と屋根の開口部からである。墜落・転落の恐れがある防護されていない端部には、手すりを設置したり、開口部にカバーをしたり、安全に取り付けることができる落下阻止システムを利用したりしなければならない。多くの墜落・転落死亡災害は、少ない人数で、ローコスト及び短い工期で作業をする場合に発生している。今回の場合も工事請負人は、十分な墜落・転落防止対策を取らなくても、作業が少人数でかつ、早く行うことができると考えていた。このことが彼らの決定的な誤りであった。

2「建設機械・クレーン等災害」

重機による事故対策6つの盲点

1 土木工事で最も死亡災害が多いのは重機の稼働時ではなく移動時。

●重機は、掘削、整地等、何か作業をしている時よりも、現場内の単なる移動、段取り替え等、直接作業をしていない時の死亡災害が多い。

●バックホウは旋回している時よりバックした時の方が危険。

●リスクが低いと思われている作業の中にもリスクが高いものが潜んでいる。

2 バックホウは旋回、後退時だけでなく、前進時にもリスクがある。

●後方、側方に死角が多いのはもちろん、前進時であっても、オペレータはキャタピラの接地面を直接見ることができないなど、安全確認が十分にできない。

●この程度なら大丈夫という危険軽視が事故につながる。

●複数の重機を近接して行う作業、狭隘部での作業は危険と隣り合わせ。

3 重機の作業半径内をバリケードなどで囲うだけではリスクは十分に下がらない。

●立入禁止区域をバリケードなどで囲うのは危険源を明示しているだけ。

●人間は危険軽視の気持ちや、近道・省略行動本能などにより、「ちょっとの間なら大丈夫」と、重機の作業半径内でも平気に立ち入ってしまう。

●バリケードに加え、監視員を配置し「何人たりともそこに立ち入らせない」と目を光らせる措置を講じてこそ立入禁止措置になる。

4 人間の注意力には限界がある。このことを肝に銘じる。

●労働災害に大きくかかわっているヒューマンエラー。

●人間の注意力には限界がある。作業に集中すればするほど安全には注意が向かなくなる。

●人力で締め固め作業をしている人にはローラーの警報音は耳に入らない。

5 安全装置が付いていてもそれを機能させなければ意味がない。

●クレーン機能付きバックホウでの荷上げ作業。作業効率を優先させ旋回速度を落とさないようクレーンモードに切り替えずに荷揚げ作業を行う違反行為がある。

●ここにも、オペレータが「これくらいなら大丈夫」と危険を軽視し、つい不安全行動をする場面が見受けられる。

●進化する機械の機能を完全に生かすことが本質的な安全対策。

6 「工期一番、安全二番」では誰も二番の安全のことを考えなくなる。

●工期を厳守しようとすると、安全は二の次になってしまう。

●「安全と施工は一体である」という信念を現場リーダーが持つことが大切。そうすることにより、作業員が「現場リーダーに従おう」という気持ちが芽生え、基本ルールを守ろうとする行動につながる。

3「倒壊・崩壊災害」です。

壁つなぎの強度不足、構造材の不足及び地盤の不等沈下により足場が崩壊・倒壊する事故が多発しています。この事故は、第三者災害に直結します。

強風にあおられて倒壊するケース

枠組み足場とは、足場仮設工事の中で最も一般的なものです。別名、ビティ足場とも呼ばれています。鋼管を溶接された建枠にはめ込み、交差筋違い、鋼製布板等の基本剤を組み合わせ、積み上げていき足場を作ります。強風による倒壊の影響として考えられるのは、

①足場の壁つなぎ金物の位置の未確認

②取り付けに不備があった

③枠組足場のブレースの欠損

④建枠の防止ピンなどの未施工

⑤布枠の吹上防止フックの未施工

などが挙げられます。

正確な理由は定かではありませんが、安全上必要な部分の未施工や未確認が原因である可能性は高いと考えられます。全面防音パネルとは、防音パネルが全面に取り付けられた足場のことです。防音パネルの効果としては、消音性・吸音性に優れたパネル構造により、工事によって発生する騒音を大幅に軽減することができ、足場の骨組み部分が隠されるため、景観が重視される街中でも悪影響を与えることがありません。防音パネルが剥がれ落ち、足場が倒壊するという事故の原因として考えられるものは、

①足場の壁つなぎ金物が不足している

②足場の取り付け状態に不備があった

全面養生シートとは、養生シートが全面的に取り付けられている足場のことで、一般的に目にする住宅の解体工事などでも、この養生の取り付けられた足場を見ることが多いのではないでしょうか。養生シートは、防音対策のほかに粉塵対策にも効果があり、養生となるシートの種類により、その強度は異なります。強風による倒壊の原因として考えられるのは、

①壁つなぎ金物の不足

②壁つなぎの取り付け不備

③足場の足元回りの根がらみ補強の不備

④足場に養生が施行されているために、風の逃げ道がなかった