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建設現場で労働事故が起きた場合、誰の労災保険を使う?

2016.12.20
分類:その他

建設業で労働中の事故が発生した時に、労災保険はどうすればよいかという疑問が出てくる場合があります。
建設業において、元請、下請、孫請など現場で働く人が労働中に事故に遭った時は、通常は元請の労災保険を使う事になります。ただし安全管理の及ばない下請け作業場内で起きた事故については除外されます。

元請に課せられる責任とは
労働者が被災した場合、元請会社はどのような場合でも責任を持って労働者を救済する義務があります。例え今回が始めてという下請の事故の場合でも、下請会社に協力して労働者を救済する必要が出てきます。
判断が困難な場合でも、一人親方を含む下請会社の経営者以外は労災保険の労働者に該当すると考えましょう。


一人親方の労災に備えるには
一人親方は人を雇用せずに自分で仕事をしています。通常の労働者と業務内容に差はなくても、事業主になるので労災保険の補償を受けることができません。
しかし一人親方にも補償は必要ですので、一人親方も労災保険に加入できるように特別加入制度が設けられています。加入するには業界団体、社労士の事務組合、一人親方労災保険組合などの加入が必要です。


損害賠償責任について
建設業の特殊性として労災保険を超える民法上の損害賠償については、関係する事業主が連座責任を負う必要が出てきます。
仮に被災労働者が孫請労働者の場合で、直接の雇用先である事業所に損害賠償能力がないと判断した場合には、二次下請会社や元請会社に対して労災保険を超えた分の損害賠償を請求することが可能です。
自社の従業員でなくても従業員と同等に扱うことが求められますので注意しましょう。


信頼関係の構築を
下請会社も二次、三次となると、そこでの労働者と元請会社との信頼関係は決して厚いものではなく、意思疎通がしっかりできていないことも多く見られます。
そのため労働災害が長期の災害になってしまった場合には、不信感が高まって補償問題が発生しやすくなります。この場合には専門家に仲介してもらうなど、信頼関係の構築に努めましょう。


労災かくしは犯罪
また、立場関係などが理由で事故の発生をなかったことにしてしまう「労災かくし」と呼ばれる行為は犯罪です。故意に労災をかくして後に発覚した場合には、元請会社の経営者に対して50万円以下の罰金が課されます。


労働中の事故は適切な対応を
建設業は労災事故の発生率が高い業種ですので、万が一事故が起きた時には適切な対応を行うようにしましょう。
協力会社と信頼関係が構築されていないことで内部告発による労災かくしが発覚するといったケースもあります。その場合には会社の社会的な信用も失うことになりますので、必ず申告するようにしましょう。