建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設現場ではなぜ死亡事故が多く発生する?

2016.12.21
分類:その他

現在都心部の新築マンションは価格高騰が叫ばれており、マンションで生活をしたい人を悩ませている状況です。
なぜ価格が高騰しているのかというと、職人不足で人件費が高くなっていることが原因の1つとして挙げられます。

東日本大震災の復興、東京五輪の建設需要の高まりなど、建設業界は人手不足が常態化しておりかなり深刻な状態です。
さらに建設業界は景気の影響を受けやすいため、不況時に大量に解雇が断行されたこともあって若い世代の人で建築職人を目指す人は少なくなっています。


建設業で多い事故とは?
厚生労働省の平成27年の労働災害発生状況調査によると、2015年の1年間で建設現場における事故で亡くなった人は327人です。危険な労働環境の中、十分に安全対策を実施し注意をしていても死亡事故は発生してしまいます。
そのうち、建設現場における死亡事故原因の4割弱は、墜落・転落による事故です。2015年は327人中128人という割合にすると39.1%の人が墜落・転落で亡くなっています。
次に多いのが10.4%の割合ではさまれ・巻き込まれによるもので、さらに激突、交通事故と続きます。


実際に起きた事故の例
・鉄骨組み立て作業の中で鉄骨上を移動中、バランスを崩して墜落した
・建設機器作業中、作業員が周辺に立ち入り挟まれた
・工事現場で作業後、帰社中対向車線にはみ出して衝突事故を起こした
・労働者が重機に衝突した


墜落・転落の割合が多い原因
5人に2人が墜落や転落の事故で死亡している状況で、構造物を新築もしくは補修作業中に足場や高所作業床などから落下して亡くなるケースが多いようです。
その原因として、足場に転落を防止する手すりが設置されていないことや、安全帯が使われていないことなどが挙げられます。
落下を防止するための予防策と、職人一人ひとりが安全意識を持つことが大切です。
この2つが欠けると死亡者数が増大していくことになります。


厚生労働省の目標
厚生労働省では、労働災害防止計画を策定して死亡者数を20%以上減少させる目標を掲げています。
足場、屋根、はしごなどからの墜落・転落することを防止することを目標として、工事発注者は事故防止策を経費に積算する要請を行い始めています。


死亡災害をゼロにするために
2016年は前年と比較した場合、死傷災害全体は大幅に減少している状況です。ただし死亡災害だけはほぼ横ばいの状況ですので年末年始の墜落・転落災害を防止することを徹底する必要があります。
11月には福岡で道路陥没事故が起きるなど、社会的に大きな影響を受けています。2020年には東京でオリンピックが開催されることに向けて、工事が本格化する中、建設現場での死亡事故を無くすことが大切です。