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建設業の倒産件数の傾向は?なぜ倒産してしまうのか

2017.04.04
分類:その他

2017年1月13日に帝国データバンクが発表した「全国企業倒産集計2016年報」によると、昨年1年間の倒産件数は8,164件。傾向としては7年連続前年を下回っており、7業種中6業種は前年を下回る結果となっています。
2016年は上場企業の倒産もなく、さらに注目したいのは2桁大幅減となった運輸・通信業、製造業で、建設業も2000年以降最少を記録しています。
自然災害が頻発し、中国経済は減速といった中で、日本銀行のマイナス金利導入による企業資金調達への柔軟な対応が倒産件数を低い水準で推移させたと考えられます。


建設業が倒産する理由
2016年の建設業の倒産件数は減少したとはいえ、倒産した企業も存在しています。それは建設業ならではとも言える特色があるからでしょう。
挙げられる特色としては、金額の大きさ、工期の長さ、外注への依頼、追加工事・雑工事の発生などです。


建設業ならではの特色が資金繰りに影響?
建設業は独自の特色がある業種ですので、様々な数字の管理が重要になります。しかし倒産に追い込まれる建設業の多くは、会計管理や工期、外注に対しての意識が低い傾向にあると言えるでしょう。意識が低いことが、資金繰りの失敗を招き、お金が回らなくなって倒産してしまいます。


資金繰りが苦しいから赤字現場でも受注する
資金繰りが厳しいことから工事代金の前受金を目的に赤字現場でも受注してしまえば当然マイナスという結果になります。お金が入金されても人件費などを支払うことになり、業者に対して支払えない状況になるからです。
銀行から融資を受けてまかなうにも限界がありますし、いずれは追加融資できなくなり資金繰りが停止してしまうでしょう。また、支払手形の支払日は何か月後になることも管理が甘くなる要因です。


建設業が倒産すると…
倒産といっても、破産・民事再生等の裁判上の手続なのか、債務者の財産関係を整理する私的整理なのか、様々です。
仮に建設業者が破産という方法を取った場合には、破産開始手続の開始が決定となり破産管財人主導のもとで手続が進んでいきます。
既に工事代金が完済されている工事を請負中に未完成の状態で破産してしまった場合、工事が完成保証制度に加入していれば別業者で工事を引き継ぐことができます。しかし加入していなければ残りの工事は自己負担させてしまうことになります。


倒産しないために必要なこと
このように建設業が倒産することは、そこで働く人だけでなく、工事を依頼してくれた人にも迷惑をかけることになります。
現在資金繰りが上手くいっているのか、結果として利益を残せているかを常に意識しておくことが倒産を回避するための一歩になります。
まずは数字の管理がしっかりとできているかを再確認し、倒産という最悪の状況を回避するようにしましょう。