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建設業の一式工事の許可を取得すればどんな工事でも可能?

2017.04.21
分類:その他

建設業の業種の中には、「土木一式工事」と「建築一式工事」があります。この2つの一式工事、そして専門工事を合わせて合計29の工事に分けることができます。


一式工事とはどんな工事?
一式工事とは、総合的に企画、指導、調整が必要な建設工事で、元請業者の立場から総合的にマネージメントする事業者向けの工事です。
小規模な建設工事は含まず、大規模で複雑な内容となる工事を指し、専門工事では施工が難しく、複数の専門工事を組み合わせて施工する工事を指します。


一式工事は原則元請業者の仕事
ただしこれら一式工事は原則元請が行うことになっています。さらに建設業法で、元請で受注した工事を一括して下請けに出したり、他の建設業者が請け負った工事を一括して請け負ったりなどを厳しく禁止しています。
一式工事の総合的な企画、指導、調整についての業務は、元請業者が複数の下請業者へ行う業務ですので、原則下請工事を請け負う場合には一式工事に該当しません。


一括下請負と判断されてしまう可能性に注意
下請業者が施工を直接行わずに、施工管理だけを行っている場合には、元請業者が行うべき業務を下請業者が行っているなど役割分担について問題視されるケースもあり、一括下請負に該当すると判断されてしまうかもしれません。
下請業者が合法的な一括下請けでない限りは、一式工事を請負うことはないと理解しておきましょう。


一式工事は万能な許可ではない
「建築一式工事」の内容としては、基本的に新築及び増改築等の大規模工事を元請として請け負う工事になっています。
住宅新築工事の建築工事全部を自社で請け負うなら「建築一式工事」の許可を持っていれば良いですが、一式工事の許可だけしか持たない建設業者であれば500万円以上の「専門工事」を請け負うことはできません。
一式工事の許可だけを持っていても、専門工事を単独で請け負うなら個別の専門工事の許可も必要です。
そのため一式工事の許可さえ持っていれば、全ての工事に対応できるわけではないことを理解しておきましょう。


建設業許可を取得する上で理解しておきたいこと
一式工事とは、工事の規模や複雑性から見た場合に、個別の専門工事として施工することが出来ない工事です。個別の専門工事で施工できる工事は一式工事に該当しないということになります。
さらに一式工事の許可があれば全ての専門工事にオールマイティーで対応できるというものではなく、500万円以上の専門工事はそれぞれの業種ごとに許可を受ける必要があります。
また、これは他の専門工事でも同様で、屋根工事業の許可だけを持っている建設業者が板金工事業や防水工事業などの専門工事を請け負う場合には、当然それら個別に許可が必要になります。