建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設業は社会保険に加入することが義務?

2017.05.29
分類:その他

法人の事業所の場合、健康保険・厚生年金保険という社会保険に加入することは義務付けられています。そして個人の事業所でも、建設、運送、製造、販売、金融保険、医療介護などの一定の業種は加入することが義務になっていますが、従業員の人数が5人未満の場合やこれらの業種以外で5人以上の事業所については任意加入になっています。
加入する際には社員全員が加入対象になりますが、代表者は希望しても加入できません。さらに任意の場合には、対象となる社員の半数以上が同意する必要です。


建設国保でも対応可能?
そして建設業独自の健康保険制度に「建設国保」がありますが、建設業では建設国保に加入することもできます。建設国保に加入している事業所の従業員の人数が5人以上になった場合や、法人化した場合は社会保険に加入する義務が発生します。
しかし社会保険へ加入するのではなく、適用除外の承認という手続きを行うことで加入している建設国保を継続させることもできます。健康保険と厚生年金に加入するのか、それとも建設国保と厚生年金という形にするのか、保険料の有利なほうを選択できるでしょう。


マイナンバー制度で未加入企業が明らかに?
そしてマイナンバー制度が導入されたことにより、全ての法人と個人に番号が割り当てられました。
情報の連携により、法人で従業員を雇用しているのに社会保険の未納企業の存在が明らかにされることになり、経費の負担に頭を抱えるといった状況も起きているようです。


倒産すれば従業員を路頭に迷わせることに
社会保険料の時効は2年ですので、未加入が判明すれば請求される保険料は2年分になります。それに加えて社会保険料を支払い続けるという状況により、従業員のために社会保険に加入するのに、加入することで経営が低迷して倒産となれば従業員を路頭に迷わせることになるといった悪循環も起きる可能性があります。


建設業許可の申請にも加入は必要
しかし建設業の場合は建設業許可を取得する必要があります。この建設業許可を取得する際、そして更新する際、さらには入札関係の手続きなどの際にも社会保険に加入していることを証明する必要です。
新規の許可申請業者や更新許可業者の中に社会保険の未加入が判明した場合には、担当部局より適正な加入指導が行われます。
なお、建設部や農林水産部、企業庁発注の建設工事については、元請業者が社会保険等に未加入の業者と一次下請契約を締結することは禁止されています。違反した場合には、担当部局から指名停止等の措置が講じられます。


社会保険への適正な加入を
建設業界では下請企業を中心として社会保険に加入せずに法定福利費が適正に負担されていない企業が存在します。
このことは建設技能労働者の処遇を低下させるため、若い世代の入職者を減少させる要因となるでしょう。適正に加入することが必要です。