建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

マンション建設で起きた災害事例から見る原因と対策

2017.06.07
分類:その他

建設業を営む上では様々な危険が取り巻いていますが、作業現場においてどのような災害が起きたのか、その事例と対策について確認してみましょう。
例えばマンション建設現場において、どのような災害が発生しその原因と考えられるもの、それに対して今後どのような対策が必要かをケースによってご紹介します。


実際に起きた事故ケース
マンションの大規模修繕を行う工事現場での足場解体作業中に起きた事故です。被災したのは解体した足場材の受け渡し役となっていた作業員で、足場上に運んだ足場材を運び荷降ろし役の作業員に渡した後に事故が発生します。
解体役になっている作業員から次の足場を受取ろうと、足場上を移動した際に地上に転落してしまいました。


事故が起きた状況
問題となったのは、足場上を移動する時に親綱の中継点があったのですが、2丁掛けの安全帯を掛け替える必要があったと考えられます。作業の時間帯も日没に差し掛かったところで、解体作業の現場は薄暗さを増していた状況だったようです。


事故の原因と考えられる要因
適切に2丁掛けの安全帯が使用されておらず、被災した作業員が足場の布板上を移動する時に、親綱の中継点で未使用側のフックを親綱に掛ける前に既に親綱に掛けていたフックを外してしまったか、掛けたつもりだったフックが完全に掛けられていなかったことだと考えられます。
また、時間帯が日没を迎えていたことで薄暗くなり始めていたことにより、親綱をしっかり目視できない状況だったとも考えられます。しかも専任の監視人はおらず、作業主任者が作業を行いながら監視業務も兼任という形だったことが問題だと言えます。


今後災害を防止するために
同じ事故が起こらないためには、2丁掛けの安全帯を適切に使用できる教育徹底を行い、作業開始の前には使い方を作業員同士に確認させることが必要です。
また、日没間際までの作業は中止するか、照明設備を設置することにより、手元や足元が見えにくいというリスクを防ぐとことができます。
専任の監視人を設置できないのなら副担当者を複数選任することで、連絡体制を強化することもできるでしょう。


他にもマンションでの作業で注意したいこと
また、マンションは高層部での作業が必要なため、クレーンによる事故にも注意が必要です。クレーンが転倒し倒壊する事故では、クレーン運転士はもちろんのこと、転倒したクレーンにトラックや作業員に激突することで多くの負傷者が出る可能性があります。さらに集合住宅の屋根やベランダなども破損する可能性がありますので十分に注意が必要です。
クレーンの設置には設計や強度計算だけでなく、適切な指導や指示が可能な現場管理の体制の確立が必要です。クレーン設置には専門工事業者の工事実績を精査して工事監理を実施しましょう。


災害が発生しないための対策を
他にも様々な災害が起きる可能性がありますが、建設業における作業中の災害で死亡災害が最も多く発生しているのは墜落や転落による事故です。マンションなど高所による作業が多い現場では、特に注意が必要だと言えるでしょう。