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建設業における社会保険未加入の実態と今後の対応とは?

2017.06.28
分類:その他

国は建設業の社会保険未加入の状況を問題視し、国土交通省による対策が現在進められています。社会保険に未加入のままでは会社の評価が下がることもありますので、加入への検討を進めて行く必要があるでしょう。


社会保険未加入の場合には様々な場面で不利に?
社会保険未加入業者が多いことは、若い人材が集まりにくい要因の1つになると考えられます。
そのため国土交通省は厚生労働省と連携し、社会保険への加入についての対策を進めている状況です。

・社会保険未加入業者との契約締結禁止
国土交通省の直管工事は元請業者以外にも下請業者の社会保険未加入が発覚すれば通報されることになっています。
さらに入札公告を伴った工事は、元請業者が社会保険未加入の業者と一次下請契約を締結することが禁止されるなど未加入業者への対応がよりいっそう厳しくなりました。さらに元請業者も下請業者に対する社会保険加入への指導を促されています。

・入札の場合にも不利に
公共工事に入札するには、経営事項審査という建設業者を数値化して評価を行う審査が必要になります。
評価基準も見直され、健康保険と厚生年金保険、雇用保険への加入がなされていない場合には各40点マイナスになるといった改正もされているようです。


一人親方の場合は?
建設業界に仕組みとして、元請から下請、下請から孫請と多重に発注される構造になっています。労務管理が一元管理されていないことが社会保険未加入業者を増やす要因だとも考えられます。
そして企業に雇用されずに元請業者と直接契約により仕事を請け負う一人親方も多いのですが、一人親方は個人事業主として国民年金と国民健康保険に加入することが必要です。


社会保険未加入に対する強化の内容とは?
公共工事の受注において社会保険未加入業者は、一次下請け契約ができず入札でも不利になります。そして現在平成29年以降、社会保険未加入業者との契約の締結や未加入作業員の現場入場を認めないといった見解も出さるなど、ますます厳しい状況になっています。
仮に社会保険への加入義務がある事業所が未加入であることが発覚した場合には、最大2年分の社会保険料が追徴金として課される可能性があります。悪質なケースに対しては6か月以下の懲役あるいは50万円以下の罰金を科されるということも考えられます。
人員不足でハローワークに求人を出したくても、社会保険未加入の場合には求人票が受け付けてもらえず指導されることになるなど、雇用も不利になることを理解しておく必要があるでしょう。


建設業の社会保険への加入基準
株式会社などの法人、そして個人経営の事業所で常時使用している労働者が5人以上いる場合には、健康保険、厚生年金、雇用保険に加入することが義務付けられています。
個人経営の事業所の場合には、常時雇用の労働者が5人未満なら雇用保険への加入は義務付けられますが、健康保険と厚生年金保険に対する加入は義務付けられていません。
一人親方についても労働者と認められる場合は、他の労働者と同様に健康保険、厚生年金、雇用保険に加入させる必要があります。


社会保険への未加入はデメリットが多い
社会保険に加入しているかどうかは、その後のビジネスに大きく影響することになりますので適切な保険に加入することが必要です。
未加入の状態では様々な部分で不利になりますので、もしまだ加入していないという場合には迅速に対応するようにしましょう。