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建設現場の労災保険の扱いは?一人親方でも加入は可能?

2017.08.09
分類:その他

建設業での労災保険は少し特殊で、建設現場に関係するそれぞれの下請会社は独立した事業として扱わないことになっています。元請会社と一体とみなされるので、工事現場自体が1つの事業体で取り扱われています。
元請会社とは発注者から直接工事の依頼を請け負う業者で、その工事のうち部分的施行を請け負う業者が下請会社です。
建設現場で労災保険に加入する手続きについては元請会社が原則行いますので、現場の作業で事故が発生した場合には、元請会社や下請会社の全ての労働者は元請会社が加入している労災保険から補償されることになります。


一人親方に対する補償はどうなる?
したがって補償される労災保険においての保険料の納付や加入手続についても、現場ごとの元請会社が負う義務が発生します。
ただし、それぞれの会社の事業主や一人親方については補償されません。労働保険はそもそも労働者が仕事中や通勤途上で事故などによるケガや病気に対して補償を行う保険制度であり、基本的に対象となるのは労働者です。
一人親方とは、労働者を雇用せずに単独で事業を行う人のことですので、事業主や一人親方は補償の対象にはならないとされていますが、労災特別加入制度を利用することで労災給付を受けることが可能になります。

・労災特別加入制度の利用条件
元請会社や下請、孫請会社が中小事業主であり、特別加入制度を利用するには、自らが元請での工事に対して労災加入していること、労働保険事務組合に事務委託しているといった条件を満たす必要があります。
一人親方の場合には一人親方の労災を取り扱う団体や組合に加入していることが必要です。


一人親方の労災保険特別加入制度が設けられている理由
現在元請会社から労災加入を求められる職人が増えていますので、このような事態に対応できるように保険制度が設けられています。
一人親方は一般的に雇用されて働く労働者ではありませんので、労働者のように通常の労災保険が適用にはなりません。そこで業務上の災害から一人親方を保護できるように、労働者災害補償保険法に基づいた保険制度として労災保険特別加入制度を設けています。


特別加入のための条件に注意
建設業では建設現場の元請会社が、下請会社や一人親方に労災保険の特別加入へ加入しているか状況を確認して、加入していない場合は即加入することを求めるケースが増えています。
そのため一人親方であっても、仕事を失うことのないように、また、自身の身を守るためにも労災保険に加入しておくことが必要です。
一人親方が労災保険の特別加入制度を利用する場合には、組合や団体に加入していることが必要ですが、組合費などもかかるためできるだけ対応が迅速で手続きが複雑ではなく、組合費も低額である団体に加入すると負担が少ないでしょう。