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建設業の統計から見る低賃金と離職率の高さを改善する策とは?

2017.12.28
分類:その他

建設業界では高齢者が大量に離職し、今後の担い手を確保することと生産性を高めることが現在極めて重要な課題として挙げられています。
課題を解決するためにも、入職や就労継続を促進するためにも、就職活動を行う技能労働者や若者に対し、キャリアパスを提示することが必要と言えるでしょう。


建設業の労働者の賃金は低い?
厚生労働省が実施した「平成28年 賃金構造基本統計調査」によると、建設業の現場従事者(男性生産労働者)の年間賃金総支給額は製造業(男性生産労働者)より11%の低い水準であるという結果でした。
これでは高い施工能力があっても、適切な評価がされないと判断されてしまい、入職者は集まらず将来の担い手は確保できなくなります。


なぜ建設業の離職率が高いのか?
しかも建設業の技能労働者は他の産業の労働者よりも高い離職率です。
その理由として、技能労働者の能力が業界で統一的に評価される仕組みがないからだと言えるでしょう。スキルを向上させてもそれが賃金上昇に繋がるわけではないことも、離職率を高める理由と言えます。


国が乗り出した施策とは?
このような問題を解決するために、国土交通省は建設業の様々な職種を横断しながら、統一的に技能労働者の施工能力を評価する制度を創設するために検討を始めています。
建設技能者の施工能力が「見える化」されれば、適切な評価と処遇の改善に向かうことが期待されます。

・建設技能労働者の能力を見える化
国土交通省は2017年11月13日、第1回「建設技能者の能力評価のあり方に関する検討会」を開催し、技能労働者の施工能力を評価する制度開始に向けて検討を始めました。
建設業の技能労働者不足は現在大きな問題となっていますが、今後少子高齢化でさらに状況は深刻化することが予測されます。

・データベースを活用したレベル分け
国土交通省は、建設技能労働者がキャリアを積みながら、キャリアに合った処遇を受けることができる環境を築くことを目指すようです。
その具体策として「建設キャリアアップシステム」を2018年10月に開始し、4月からは建設技能労働者に保有している資格や就業履歴といった情報が登録できるようにしてデータベースを構築します。
このデータベースを活用することで、建設業の様々な職種を横断し技能労働者の施工能力を、見習い程度であるレベル1から上級職長であるレベル4までレベル分けし、施工能力を評価するシステムを構想しているようです。


期待される国の施策
国も建設業界の人手不足を重く見ていますので、技能労働者の能力などが明確になれば適正な評価がされるようになり、労働者側と雇用側とが互いのニーズに合った雇用関係を築くことができるでしょう。