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建設業では社会保険未加入の下請けは排除される?

2018.02.05
分類:その他

建設業界では下請企業を中心として、法令で義務付けされている社会保険などに加入しない企業が存在しています。適正な法定福利費の負担がされていないのは、労働者の処遇を低下させる事となるので、若年者が入職することの妨げになっているとも考えられるでしょう。
このようなことから建設業界でしっかりと人材確保を図れるように、そして健全な競争環境を構築するため、建設業許可取得の際には、社会保険などの加入状況について確認と指導を進めている状況です。


建設業は社会保険に強制加入?
2012年年、国土交通省は2017年までに社会保険に加入していない事業所は100%加入させるという目標を掲げました。
さらに「社会保険の加入に関する下請け指導ガイドライン」を策定し、2017年度以降は社会保険未加入の事業所は下請け契約をすべきではないとの見解も出していると言われています。
社会保険未加入の企業を放置し続けることで、建設業界に人材が集まることはないと判断した結果と言えるでしょう。もしまだ建設業でまだ社会保険に加入していない企業がいたとしたらどうなるのでしょう。


建設業で社会保険に加入していない場合
仮に建設業を営む企業が社会保険に加入していなかったとしたら、まずは建設業許認可を扱う行政からの指導が入ります。
建設業許可や更新、経営事項審査の時、また、事業所に対する立入検査時などに、徹底した加入についての指導を受けることになるでしょう。
さらに協力会社の審査時、下請契約時などでも社会保険への加入状況を確認されるので、未加入であれば指導を受けることになります。


指導を受けても加入しない場合は?
指導を受けて適切に社会保険に加入したのなら良いですが、それでもまだ社会保険に加入しない場合は労働者が建設現場に入れなくなってしまいます。
そしてさらに、それでも加入しないままの状態が続くと、社会保険部局に通報されて強制加入措置を受ける、または状況次第で建設業担当部局から監督処分を受けるといった方向に進むことになります。

・未加入では公共工事請負ができない
また、社会保険に加入しないことで公共工事を請負うこともできなくなってしまいます。国土交通省の公共工事請負は、建設業所管部局と発注者が連携して建設業者の社会保険未加入対策に取り組んでいます。
事業を行う上で社会保険に加入することは必須条件となるので、もしまだ加入していないという場合は適切な保険に加入するようにしましょう。


全ての労働者が強制加入の対象になるとは限らない
確かに社会保険料を企業が支払うことは大きな負担ですが、必ずしも労働者全員が社会保険に加入するべきとも限りません。
役職や雇用形態、労働時間、業務遂行においての権限の範囲など、確認すれば社会保険に加入する義務のないケースもあります。
例えば現場で働く労働者の多くが一人親方ですが、一人親方は国民健康保険や国民年金に加入している場合、ガイドライン上、現場入場が認められます。


現在の状況確認と専門家への相談を!
強制加入ということになる前に、事前に確認して体制を整備しておけば、社会保険に加入しなくても良い可能性もあることを理解しておきましょう。
現在、社会保険に加入する必要があるのかが分からないという場合には、専門家などに相談して見ると良いでしょう。