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建設業で使われる「労務費」と一般的な「人件費」は何が違う?

2018.02.27
分類:その他

労務費とは製品を生産するために使った人件費ですので、建設現場や製造業での賃金と考えるとイメージしやすいと思います。
労務費という言葉は会計以外の場面でも登場します。
例えば工事の見積書の内訳にも、材料費や経費と別に「労務費」という項目が設けられていることがあります。


労務費と人件費の違いは?
労務費と人件費って同じでしょう?と思うかもしれませんが、原価管理の考え方では人件費の一部が労務費と考えることが適切だと言えます。
人件費は目的によって複数の項目に分けられます。
製造や生産のために使用されれば「労務費」となり、販売のために使われる営業担当者の人件費は「販売費」、経理や総務などに従事する人の人件費は「一般管理費」です。


間接労務費と直接労務費への区分
なお、原価管理を行う際、労務費自体は「間接労務費」と「直接労務費」に分けて考えます。
原価管理において、労務費に含まれるものは、
・賃金
・パートタイマーやアルバイトに対する給与などの雑給
・賞与、通勤手当、家族手当など
・退職給付費用(退職金積立)
・法定福利費(会社負担分の社会保険料)
などです。
このうち、製品を作るためにかかった労務費を直接労務費、どのくらい掛かったか区分することが難しい労務費を間接労務費に分け、原価を適切に計算していきます。
上記の項目を直接労務費と間接労務費に分けた場合、次のように区分されます。

●直接労務費
・直接工の賃金
・直接工の雑給

●間接労務費
・間接工の賃金、雑給
・事務部門へ支払う給与
・従業員賞与手当
・退職金給付費用
・法定福利費


建設業における労務費について
建設業における労務費は、直接工事に従事する人に対して支払われる賃金や給料手当です。そのため現場管理者や技術関係者に支払われる給料も本来は労務費ですが、人件費として工事経費で計算されます。
労務費でも工種・工程別の工事を他業者に外注して、大部分が労務費であるものの支払額は労務外注費に該当します。
発注する形から見れば外注費では?と思うかもしれませんが、実質的に工事現場で労務作業と同等の内容の場合には、外注費ではなく労務費に含めます。


深く考えすぎて混乱しないように労務費を理解する
労務費という言葉は難しいと思うかもしれませんが、上記のように考え方を理解しておくことで、複雑に感じる経理処理において戸惑うことが少なくなるでしょう。
不明な部分を少しずつ理解していく様にしてください。