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建設業の下請会社は元請会社に対して厚生年金など法定福利費を請求しなければならない?

2018.04.25
分類:その他

中小で建築業を営んでいる多くは、発注元である元請会社から仕事を請負う下請会社だと思います。
下請会社が元請会社に対して見積書を作成する場合、この中に「法定福利費」を記載する必要があることをご存知ですか。


そもそも法定福利費とは?
法定福利費は分かりやすく表現すれば社会保険料のうち、会社が折半で負担する保険料分を指しています。元請会社に対する見積書には、この会社が負担した分を記載して請求することになります。
社会保険料とは具体的に、雇用保険料、健康保険料(プラス介護保険料)、厚生年金保険料(プラス子ども子育て拠出金)です。なお、労災保険も法定福利費に含まれますが、建設業の見積書に記載する必要はありません。


法定福利費を上乗せして請求する必要がある
見積書に記載する必要のある雇用保険、健康保険料(介護保険料)、厚生年金保険料(子ども子育て拠出金)は、労働者が負担する分と会社が負担する分があります。
記載する必要があるのは会社が負担する分で、材料費や人件費、管理費など通常の見積金額とは別で社会保険料として会社が負担している分を見積金額に上乗せして元請会社に請求することになります。
法定福利費は材料費や人件費、管理費などの見積もり合計金額の3%くらいが目安となるため、その分受注金額が高くなるでしょう。


なぜ元請会社に法定福利費を請求する必要がある?
しかしなぜ元請会社に請求する見積書にわざわざ法定福利費を記載して請求しなければならないのでしょう。
これは国の方針が関係していて、建設業の社会保険未加入問題を解決させようとする取り組みの1つと言えます。
中小や零細建設会社では、雇用保険や厚生年金などに加入しなければならないのに、まだ加入されていないケースも存在します。
そのため、この未加入問題を解決する糸口として、元請会社に法定福利費を請求することで費用確保が可能とし、社会保険加入を促すことが目的と考えられるでしょう。


どのように見積書に記載すれば良い?
見積書にどのように記載するのかは、簡単に説明すると「労務費(人件費)×法定福利費の会社負担割合」を見積書に記載することになります。
ただし会社が負担する法定福利費は、法人か個人事業かなどで金額が異なりますので注意しましょう。細かい規定や計算方法などもあるため、専門家などに相談した上で作成することが望ましいと言えます。