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建設分野においての外国人受入の緊急措置とは?

2018.05.22
分類:その他
復興事業を加速させながら、2020年に開催されるオリンピック・パラリンピック東京大会等の関連施設整備など、建設需要は一時的に増大傾向にあります。 そこで、国は2020年度までの緊急・時限的措置として、国内の人材を確保に即戦力となる外国人材の活用促進を図る事を検討し、平成27年4月から対象となる外国人材の受入れが開始されています。

なぜ緊急的に特別措置が設けられた?

1964年にも東京オリンピックが開催され、それに伴う建設工事においても多くの建設業事業者が仕事に追われていた事があります。当時の建設事業者の多くは日本人でしたが、現在は労働者人口が減少している事、さらにそもそも人材不足である建設業界で人材確保する事は困難な状況とも言えます。 そこで即戦力となる外国人労働者に仕事をしてもらう事を目的として、今回の緊急的な特別措置が講じられたというわけです。

これまでの制度では対応できない?

本来、建設業で作業員として外国人が働く事を希望していても、日本でビザが発行される必要があります。 しかし、建設現場での作業は単純労働に該当するため、入管法上で単純労働者を外国から受入れる事は認められておらず、建設現場で働く事を目的とする就労ビザは発行されないと言えます。 そもそも、建設業でも外国人技能実習生の受入れは可能だったのですが、3年という期限付きであり、さらに正規雇用と同様に働く場合には一旦帰国しなければならないなど規制が色々あります。 せっかく技術を習得して戦力となった人材を、一度手放さなければならなくなるのは企業にとっても負担ですので、今回東京オリンピック開催年である2020年までに緊急的な特別措置が設けられる事になったという訳です。

即戦力を失わないための措置として

これまで、技能実習期間は3年だったのですが、即戦力の確保という事を念頭に置いて、建設分野の技能実習修了者は技能実習に引続いて国内に在留して、建設業務に従事する事ができるとされました。 1年ごとの更新で最大2年以内、再入国者で帰国後の期間が1年以上なら最大3年以内とされています。 期限付きではありますが、特別措置によって連続5年、通算6年の就労が可能になり、優良な受入企業による5年の実習期間が可能であれば合計7年という長期雇用に展開させる事もできるでしょう。

今後、制度が改善される可能性もある?

優秀な実績を残した外国人労働者がいなくなれば、建設現場で作業が行えなくなる可能性もありますので、日本で働き続ける事ができる制度も将来的には作られるかもしれません。