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建設業で派遣を行うことは禁止されている理由とは?

2018.06.13
分類:その他
建設業務を派遣することは「労働者派遣法4条 1」によって禁止されていることをご存知でしょうか。では、派遣と請負はどこが違うのか、そもそもなぜ禁止されているのかを確認しておきましょう。

建設業特有の重層的な関係とは?

建設工事の請負方法を確認すると、発注者から受けた注文に基づいて個別に建造物を造って完成品を引き渡す形になっています。この個別受注請負であることが建設業の特徴で、それぞれの工事で建造される物は、規模や構造がその都度異なることから、大工や左官、電気というそれぞれの専門分野を組み合わせて造られることになり、分野ごとの技術者を1つの企業で賄うことは難しいと言えます。 そのため、基礎、足場、電気など行う工事の種類ごとに専門業者に下請を依頼し、共同で作業を行う形で完成させていることもあります。特に、必要な工事の規模が大きくなる場合や、高い専門技術が必要になる場合などは、下請業者が次の業者に下請する二次下請や三次下請まで携わる業者が広がっていきます。 このような重層的な下請関係が常態化している特徴があるため、工事の遂行や指揮命令に対して誰が責任を負うのかが明確でないこともしばしばです。

建設業で派遣業務を禁止する理由

このようなピラミッドを築く関係が見られる中で、発注を受けた時点で現場を次々に変わり働くことになり、工事によって期間や環境なども様々で、どの程度の労働力が必要になるかも予測がつきにくい業種です。 工事がある時には人手が必要でも、完成すればたちまち不要になるため、径説業で働く労働者にとって、雇用が安定しないのも悩みの種と言えますので、労働者と使用者の雇用関係を明確にしつつ、長く安心して働くことができる労働環境を確保することが必要だと言えるでしょう。 もし派遣という雇用形態を採用した場合、労働者は雇用主とは違う事業主の指揮命令に従いながら働くことになりますので、ピラミッド式の重層的な下請関係で責任関係が曖昧な中、さらに曖昧さを増す状況になってしまいます。さらに派遣など、有期雇用で働く労働者の地位は不安定になりがちですので、建設業務では派遣を禁止しています。

建設業で派遣は禁止!その理由を把握しておく

もし建設業で派遣を可能にした場合、指揮指令の責任は誰になるのか曖昧になってしまいます。特に建設工事現場は労働災害が起きる危険性が高い業種ですので、曖昧な指揮系統により事故を招くおそれもあることから、派遣を禁止していると理解しておきましょう。