建設現場で行われている不適切な社会保険への強制加入の実態とは?

建設現場では、社会保険に対しての加入指導が強化されています。しかし、その強化の程度が、社会保険不適用の任意適用事業者に対しても加入を迫るといった、行き過ぎた指導になっていることもあるようです。
例えば、個人事業者は従業員5人未満で、国保・国民年金に加入していれば特に問題は生じないはずです。
しかし、社会保険への未加入者は現場に入れないと親請から言われるなど、社会保険の制度を使った限度を超える加入圧力や、保険料を支払うことができない低単価の押し付けなど、法律違反が問われる行為も少なくないので注意してください。
保険料の支払いが困難な場合は?
下位下請けの場合、処遇の状況が悪いことで、社会保険への加入が困難な状況も考えられます。そのような中でも、社会保険への加入は建設業許可の要件とされるなど、小規模な事業者にとって重い負担となっても加入しなければならない状況です。
ただし、保険料の納付が難しい場合や、既に滞納している場合などは、納付延期や分割による納付など救済制度もあるので未納のまま放置しないようにしてください。
労災保険への加入は?
また、従業員の1人でも雇用すれば、事業主は労災保険に加入させることが必要です。また、週の労働時間が20時間以上、31日以上雇用する見込みのある従業員を雇用した場合は、雇用保険にも加入が必要になります。
労災保険は、業務上のケガや病気の治療費や休業給付を補償する保険であり、雇用保険は従業員が失職した時の生活支援や再就職支援のための保険です。
労災保険は事業主でも加入できる!
労災保険は労働基準法上の労働者が対象なので、種類を問わず事業や事務所に使用され、賃金を支払われていれば対象となります。パートやその日限りのアルバイトも対象になりますが、同じような仕事をしているのに会社の代表や業務執行権を持つ役員などは労働者には含まれず、労災保険からの給付を受けることはできません。代表と同居している家族従業員も同様です。
しかし、事業主や家族従業員も補償の対象にできる「特別加入制度」があるので、業務の実情や災害の発生状況などから、労働者に準じた保護が適当と認められる場合は特別に任意加入することができます。
事業主や一人親方など、特別加入制度を利用して、労災保険に加入しておくと安心です。
中小の建設業者では社会保険料が深刻な問題に・・・
社会保険料の負担が大きく、払いきれないなどを理由にして保険料を滞納する事業所は少なくありません。
中小業者では深刻な問題とも言えますが、3か月溜めれば支払給与1か月相当額まで膨れ上がってしまうことになり、事業継続にも深刻な影響を与えてしまいます。
もし保険料を支払うことができず、滞納してしまう状況にあるのなら、放置してしまわず早めに年金事務所に相談するようにしましょう。