建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設業界で問題なのは労務費?それとも人員不足?

2018.10.31
分類:その他
建設業界が抱える問題の中で、雇用保険や厚生年金といった社会保険への加入率が他業界より低く、間接労務費として支払われていないことが挙げられます。 実際、建設業を営む法人、または個人事業で従業員5人以上の事業所は、社会保険への加入が義務づけられています。 それでも社会保険への加入が行われていないことを重くみた国土交通省は、社会保険未加入の作業員は建設工事現場で働かせることができないとし、さらに未加入業者は国発注の工事からの排除や、建設業許可も出さないなど、大変厳しいルールが定められるようになりました。 ここまで厳しいルールを設定するのは、建設業で社会保険への未加入が人手不足に繋がっている可能性もあるからです。

社会保険未加入は労働者にとって不安でしかない

建設業界は労災事故が多く発生する、常に危険と隣り合わせの業界です。そのため、万一事故などでケガを負った時や病気になった時などに、公的社会保障が受けられないことは働く方たちにとって大きな不安です。 さらに、技能労働者の処遇の低下を招き、建設業の就労環境も悪化させます。結果として、若年入職者が減少することに繋がりますし、若年労働者が増えなければ技術や技能を承継することもできず、ますます人手不足を悪化させます。

建設業界で働く若年層は減少傾向

建設業従事者は高齢化している状況であり、若年層は減少しています。全体の3割は高齢者、若年層はたったの1割です。 もし社会保険未加入者が建設工事現場から排除されてしまえば、人手不足の問題をさらに悪化させることになり、工期の遅れや建築コスト増大などに繋がる恐れがあります。 日本建設業連合会の推計では、2025年度には293~315万人の技能者が必要と見通されているようですが、新規で労働者を確保できるのかが問題となるでしょう。

女性の活躍も期待されるけれど・・・

そこで、女性なども建設業の現場で活躍できるように、女性専用トイレを設置したり、更衣室を設けたり、育児など子育て世帯の労働者の就労時間制限など様々な取り組みを行っている建設会社もあります。 しかし、まだまだ女性の割合は全体の10%弱であるなど低めなのは、時間外労働させにくいことや体力が必要な工程が多いことで、担当できる部署や業務が限られることが理由とも言えます。

健全な職場環境の整備を!

このように、建設業界の現状を考えてみると、若年層、新規学卒者や女性を積極的に採用していくことも必要な状況です。 社会保険未加入であることは、働く側からすると不安要素でしかなく、現場からも排除の対象となるなど、人手が不足している状況をさらに悪化させる要因です。 継続して建設業を営んで行くために、そして必要な人材を確保するためにも、健全な職場環境を整備していきましょう。