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建設工事現場から発生する振動による苦情を防ぐための対策とは?

2019.01.09
分類:その他
建設工事現場での作業による振動は、施工方法や、機械の稼働・使用、土質条件など様々な要因が組み合わさることになるので、他の公害振動よりも振動が発生するメカニズムなど複雑です。 そのため、建設現場での作業における振動への対策は、騒音対策より技術的対応が難しい場合が多く、苦情件数も増える傾向にあるようです。 実際に作業が始まると、近隣の住民は普段の生活で感じることのない振動を感じることもあり、振動が大きくなれば恐怖に繋がるなど、騒音とはまた違った苦情原因になると考えられます。 そこで、近隣住民から苦情が出ないようにするためにどのような対策を講じればよいのか確認しておきましょう。

建設作業による振動の特徴

一般的な公害振動の特徴として、多くは振動源から10~20m の距離で発生していること、主な被害は近隣住民の心理的な部分や感覚的な部分の被害であること、振動が直接人体に影響を及ぼす事例は少ないことなどが挙げられます。 また、振動だけでなく、騒音も伴うことが多く、地表面での振動レベルは水平振動より鉛直振動の方が大きいことも特徴です。 さらに、建設作業による振動の場合、多くは一過的なものであるものの、場所の代替性がなく、大きなエネルギーで衝撃的・集中的であるといえます。 心理や感覚的な影響が主ですが、物的被害を生じることもあり、施工の方法や機械の種類だけでなく、作業状況や条件などよっても被害の大きさは異なります。

建設作業の振動苦情の原因は?

建設作業の振動苦情の中で最も多いのは解体工事によるもので、中でも建築解体工に関わるバックホウ、ブレーカ、圧砕機など、油圧ショベルがベースとなるものによる作業が圧倒的に多いようです。 振動が発生する位置から苦情の訴えが出る場所までの距離は50m 未満の範囲に集中することが多いですが、中には100m を超えた場所の場合もあるようです。

振動を防ぐための対策

建設現場で行われる施工は、取り壊し作業からコンクリート殻の整理、コンクリート殻の積込みが1つのサイクルとなり、場所を変えながらこの一連の流れを繰り返します。 取り壊し作業を行う時、コンクリート圧砕機が爪形の刃先で鉄筋コンクリートなど構造物を噛み砕いていくので、コンクリート殻が落下すれば振動が発生してしまいます。 そこで、近隣への環境に影響が及ぶことが予想されるなら、コンクリートの塊などは振動の影響がない場所に運んで破砕するという対策も行いましょう。

住民からの苦情を回避するための対策

また、大きな振動が起きる可能性があると予測される場合、事前に近隣住民に対して実施する工事の内容と振動発生の可能性を説明しておくようにしましょう。 もし作業による振動を感じた住民がいたとしても、それを伝えてくる経緯が苦情ではなく、日常のコミュニケーションですんだ事例もあるからです。 工事見学会や建設機械試乗体験など、イベントなどを開催し、積極的に住民に工事現場を理解してもらえるようにしましょう。 日頃からのコミュニケーションを築くことが対策に繋がることも多々あるはずです。