建設現場で重要になる送り出し教育とはどのような内容?

建設業界で働く方の多くは、所属する会社や工場などで労働を行うのではなく、会社から離れた場所で仕事する現地生産方式です。
その上、ピラミッド式の重層構造の中、請負での施工が一般的なので、自社だけでなく他社の従業員とも同じ場所で作業を行うこととなるため、自社のルールだけでなく元請の規定するルールについても守ることが必要になります。
作業設備や手順なども、施工に関わる工事によって異なるなど、大変複雑な環境の中で作業を行わなければならないため、作業員が健康で安全に働くことができるための安全衛生教育は欠かせないといえるでしょう。
特に、送り出し教育といわれる教育も十分に行っておく必要がありますが、どのような教育なのか、その内容を確認しておきましょう。
送り出し教育とは?
送り出し教育とは、専門工事業者が請け負う工事の現場で作業する作業員が、その現場に入場する前に安全に作業できる体制づくりに必要な教育で、ルールや作業方法を徹底させるために行います。
具体的には、次の事項の周知徹底を目的とし、一次専門工事業者の安全衛生責任者が実施します。
・雇用時に行う教育の内容と同じく、基本的ルールや標準作業の方法の徹底(教育実施時期は年1回)
・元請の基本安全ルールなど(入場時前に教育を実施)
・請け負った仕事の作業手順に基づく作業方法と安全対策(工事着手前に教育を実施)
・入場時の教育が行えない資機材の搬出入作業者などに対する、搬出入経路や速度制限など(運搬など作業指示を行う時に教育を実施)
その他、工事の概要や規模、工期など現場の状況、現場特有のルールや工程計画、安全衛生管理体制や方針、緊急時の連絡先などを周知させることも教育の中で実施することが必要です。
送り出し教育の重要性を認識しておくこと
労働安全衛生法では、新規で雇用する場合や作業内容が変更された時には安全衛生教育を行わなければならないことの規定がなされています。
ただ、教育は一度実施すればよいわけではなく、繰り返し、その都度行うことで確実に教育内容を身に付けることができるようになるでしょう。その中でも送り出し教育は、現場が変わる時に事業者によって実施することが必要です。
作業員の方が働く新しい現場のルールや環境などを理解しておらず、聞いていない、知らなかったといったことで起きてしまう事故や災害を減らすことを目的としていますので、必ず事業主や安全管理者、安全衛生責任者などが実施するようにしてください。