建設業で労災保険にかかる保険料を計算する方法とは?

従業員を雇用した時、労災保険に加入することは事業主の義務ですので、支払う保険料は全額事業主が負担することになります。
建設業の場合は、現場単位で労災保険に加入し、保険料を算出することが基本です。
建設業は、元請から下請、下請から孫請といった特有の請負体制から、いろいろな事業所が同じ現場で作業を行うことも多くなります。
その中で労災保険は、元請が現場に入る下請や孫請の労働者分も含めて加入することが必要です。
一般的な労災保険料の計算方法
労災保険の保険料は、原則として、労働者に対して支払う賃金総額に、業種ごとに定められている労災保険率をかけて計算することになります。
計算式にすると、
「労災保険料=賃金総額×労災保険率」
となるわけですが、ここで使用する賃金総額とは、事業主が雇用している全労働者に支払う賃金の総額です。
ただ、中には賃金総額を正確に算出することは難しい事業もあるため、このような場合には特例による賃金総額の算定の方法を用いることが可能です。
□賃金総額算定の特例とは
建設業は請負によって行われることが常態化していますが、この場合は元請が下請以下に雇用されるすべての労働者の賃金総額を算定して、支払う保険料を計算することになります。
しかし、元請が事業全体の賃金総額を正確に把握することは容易ではないため、請負金額(請負代金)に労務費率をかけた金額を賃金総額とすることができます。
「労災保険料=請負金額×労務費率×労災保険率」
建設業での労災保険料の計算方法
保険料を計算する時には、請負金額に労務費率と労災保険率をかけて算出しますが、この「労務費率」と「労災保険率」は、工事の内容によってそれぞれ定められていますので、確認しておくとよいでしょう。
厚生労働省 平成30年度労務費料率表
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhokenpoint/dl/roumuhiritu_h30.pdf
厚生労働省 平成30年度労災保険料率の料率表
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000198405.pdf
建設業の複雑な雇用形態に対応できる保険料の計算方法
同じ現場に入ることになる、元請、下請、孫請など、全労働者の賃金を正確に把握しようとすれば、会社どうして誰にいくら賃金が支払われたのか報告されることが必要です。
その上、現場に入る期間以外にも、工事の準備にかかる作業や周辺作業も含めなければならない場合もありますし、賞与も算入することになるなど、かなり手間や労力が掛かってしまうでしょう。
そこで、現場の請負金額全部の中から一定割合は賃金(労務費)であるとみなし、その金額をもとにして保険料を計算するという方法が可能となっているのです。