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建設業会計の特徴や使用する勘定科目の種類とは?

2019.02.19
分類:その他
建設業では、一般的な企業で用いられる商業簿記などで帳簿処理を行うのではなく、独自の建設業会計で経理手続きを行う必要があります。 建設業会計とは、工事が着工されてから完成し、引き渡しされるまで、1年以上など長期に渡ることの多い建設業界の特殊性を考慮して作られた財務会計制度です。 そこで、建設業会計の特徴やその内容について確認しておきましょう。

建設業会計で用いる勘定科目

建設業会計の場合、特徴的なのは会計処理に用いる勘定科目です。 一般的な商業簿記で使う勘定科目と比較した場合、次のような違い生じます。 □資産 ・商業簿記: 売掛金 → 建設業会計: 完成工事未収入金 ・商業簿記: 仕掛品 → 建設業会計: 未成工事支出金 □負債 ・商業簿記: 前受金 → 建設業会計: 未成工事受入金 ・商業簿記: 買掛金 → 建設業会計: 工事未払金 □収益 ・商業簿記: 売上高 → 建設業会計: 完成工事高 ・商業簿記: 売上総損益 → 建設業会計: 完成工事総損益 □費用 ・商業簿記: 売上原価 → 建設業会計: 完成工事原価

未成工事支出金について

このうち、「未成工事支出金」とは、商業簿記での「仕掛品」に相当する費用です。仕掛品とは、まだ完成されていない途中段階の作りかけの製品で、販売することができない状態にあるものを指します。 建設業会計で仕掛品を意味する未成工事支出金は、工事が途中段階にあり目的とする建築物が完成していない状態を示すと考えられます。 □完成・引き渡し後の処理 未成工事支出金は、対象となる目的物が完成、引き渡しが行われた時に「完成工事原価」に振り替えることとなり、費用として処理します。 建設業では工事に対する支出が長期間に渡り残り続ける傾向が強いことから、「未成工事支出金」という将来の可能性を特定できる勘定科目を用いて、財務諸表に反映させることになるのです。

同様に完成工事未収入金の処理方法は?

また、商業簿記で使用する売掛金は、建設業会計では完成工事未収入金という勘定科目で処理されます。売上代金がまだ入金されていなければ、貸借対照表の資産として完成工事未収入金が計上されます。 目的物が完成し、引き渡しが行われた時には、「完成工事高」に振り替えて処理を行います。

建設業会計は長期に渡る取引の特殊性を考慮してできた会計制度

資産と費用を振り分けるための基準も、請負工事における将来の可能性の有無を判断することを前提に機能しています。 以上のように、「未成工事支出金」という専門用語一つを取ってみても、建設業会計は、建設業界の特性に何とか適合させるために編み出された会計側からの工夫といえるかもしれません。今後も建設業界に関連する様々なトピックを会計的な視点から、随時ご紹介できればと思っております。