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建設業界で注目されつつある多能工とはどんな存在?

2019.04.22
分類:その他
建設業階では、近年、マルチなスキルを保有する人材を育成する「多能工」に注目が集まっています。 複数の職種に対応可能とするスキルを備えた人材であれば、仮に人手不足であっても色々な業務を可能とするため、足りない部分を補うことができます。 建設業界に限らず求められる人材ともいえますが、建設業においての多能工は注意しておくべき部分も多くあるためご説明します。 多能工の存在がどのようなメリットに繋がるか 多能工とはどのような存在か、その定義は国土交通省のリーフレットなどを確認すると、「建設工事において、連続した複数の異なる作業や工程等を遂行するスキルを有する個人、あるいはそれを可能にする生産システム」とされています。 建設工事などで必要とする複数の資格を有した人材ということになりますが、通常であれば専門工や専門業者などで作業を分けて行うことが一般的です。 しかし、その分、費用や工期に影響が及ぶといった問題が発生しますが、多能工であれば同じ工程を1人、または数人で完結させることが可能となるので、外注委託するコストや業者によって異なる品質の差異などを抑えることができます。 収益率や品質管理の向上、さらに工期を短縮させるといったメリットがあるといえるでしょう。 多能工育成までの経営戦略も必要 ただ、建設業では、複数の職種に渡る建設業許可を取得することが求められるため、有資格者がいない状態では許可取得まで時間がかかってしまいます。 多能工を育成するための経営戦略を立てる時にも重視しておくべき部分といえるでしょう。また、多能工は社員の中から育成することが前提になりますので、採用や教育などに費用がかかり、時間も必要です。 資格によっては1年で取得可能なものもありますし、数年かかるものもあります。また、筆記と実技で取得できる資格もあれば、実務経験などが必要とされるものもあるので、それらを踏まえた上での教育が求められるでしょう。

■評価や待遇をどのように整備するか

資格習得に応じて給与面などの評価を整備することも必要です。人材評価や待遇など、折り合いがつかなければ育成した後で退職してしまう可能性も出てきます。そうなると育成にかかった費用や期間が無駄になってしまうため注意しましょう。

■多能工を有効活用できる発注システムも必要

多能工を前提とする発注システムがなければ、せっかく人材を育成しても活用されにくくなってしまいます。そこで、発注者に対して、多能工がいれば一括受注が可能になることを知ってもらうことが必要であり、自社で可能とする部分とそうでない部分を明確化しておくことも求められます。 ただし多能工ばかり増えるのも問題 多能工はそれぞれの専門分野の専門家には及ばなくなる可能性が高いので、多能工ばかり増えると1つの専門性を高めることができなくなってしまう可能性があります。専門家と多能工のバランスも重要になるといえるでしょう。