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会計処理で建設仮勘定が使用される場面とはどのような時?

2019.05.10
分類:その他
建設会社がビルを建設する場合など、施工にかかる期間は1年以上というケースも少なくありません。 その場合、ビルが完成するまでその代金を全く受け取る事が出来ないわけではなく、製作に時間のかかる固定資産では分割請求されることもあります。このようなケースの会計処理で用いられる勘定科目が「建設仮勘定」です。 建設中の建物の会計処理 建物を建設し、請求して進捗した分のみ取得したことにするような会計処理は行われませんので、建設中の建物の処理は「建設仮勘定」を用いることになります。 建物の建設中、未完成の状態でもその代金の一部が支払われることは珍しいことではありません。 建物が完成すれば固定資産になりますが、建設途中の場合は物としてできあがっていないので、固定資産として計上することはできません。 しかし、まだ建設段階でも一定価値は認められるため、完成前に支払われた部分は固定資産とみなすために用いられるのが「建設仮勘定」です。 建設仮勘定はどのような仕訳方法で使う? 実際、建設仮勘定がどのように会計処理において用いられるのか確認してみましょう。 まず、ビルを建築することとなった会社が、着手金として建設会社に1千万円を現金で支払ったとします。 この場合の仕訳は、 「借方:建設仮勘定 10,000,000/貸方:現金 10,000,000」 となり、続いてビルが完成して代金の残り4,000万円を現金で支払ったとすれば、 「借方:建設仮勘定 40,000,000/貸方:現金 40,000,000」 となります。 さらに完成したビルを建設業者から引渡された時には、 「借方:建物 50,000,000/貸方:建設仮勘定 50,000,000」 という仕訳を行い、建物で建設仮勘定を相殺する形となります。 建設仮勘定の段階で減価償却は行わなくてもよい なお、固定資産は減価償却を行うものと認識されていますが、建物仮勘定の段階では減価償却を行いません。建物仮勘定は固定資産であっても、まだ建設段階なので建物としての用途は果たさないからです。 使用していないものは減価償却しないため、完成して建物として計上したのち、減価償却を行うことになります。 建設仮勘定は建物だけに使用されるわけではない また、建物仮勘定は建物だけに使用される勘定科目ではなく、完成すれば固定資産となるものには使われます。 規模の大きな機械設備なども、注文して設置が完成し、引き渡されるまでに建設仮勘定を用いるという形です。 勘定科目の名称に「建設」とあるため、建物にしか用いられることがないと思われがちですが、固定資産を得るためにその支払いを分割で行っていた場合、例えば機械や器具備品などでも用いられると理解しておきましょう。