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建設業の経営状況を把握したいなら損益分岐点の計算方法を知っておくこと

2019.05.31
分類:その他
建設業が経営の状況を把握したい時、損益分岐点とは何か知っておくと分析しやすくなります。 損益分岐点とは、売上から原価や費用を差し引いた時、利益がゼロになる時点を指しています。いわゆるプラスマイナスゼロの状態なので、利益は生むことはできませんが損もないということです。 この損益分岐点を把握することにより、どのくらい現状の売上に余裕があるかを知ることができます。さらに、目標にしている利益を達成するために確保しなければならない売上高を把握することが可能です。

損益分岐点を計算する前に

建設業では、それぞれ受注した工事でどのくらいの売上を確保しなければならないかを把握することができるので、損益分岐点の計算方法を知っておくようにしましょう。 損益分岐点を計算するためには、まずまずは原価や費用は変動費と固定費に分けて考えることが必要です。 変動費は売上が増減することに伴い発生する費用のことなので、例えば売上が上がったことで下請けに依頼を行い、外注費が発生すれば変動費に分けて考えることとなります。 もう一方の固定費は、売上の増減に関係なく、必ず発生する費用のことを指しているので、例えば家賃や従業員に対する給与などが該当します。

建設業における変動費と固定費の考え方

建設業で原価や費用を変動費と固定費に分ける場合には、原価はすべて変動費、販売費及び一般管理費は固定費として考えます。 本来、現場で仕事する従業員にかかる人件費などは原価ではなく固定費として分けるべきですが、売上に直接関係する原価は変動費として考えることが一般的です。

損益分岐点売上高の計算方法

損益分岐点となる売上高は、差し引きの利益がゼロとなる数字を示します。 そのため計算式としてあらわすと、 「売上高-変動費(原価)-固定費(販売費および一般管理費)=損益分岐点」 となります。 この計算式により、損益分岐点となる売上高は、 「固定費÷{1-(変動率÷売上高=変動費率)=限界利益率}=損益分岐点売上高」 で、算出することができます。

目標とする売上高の設定方法

この損益分岐点売上高を活用することにより、目標とする利益を達成するために必要な売上高を把握することができます。 なお、目標とする売上高は、 「(固定費+目標利益)÷限界利益率=目標売上高」 という計算式で算出が可能です。 短期的な利益計画を行うことに繋がりますし、現在の経営状況を把握することが可能です。 もし損益分岐点より離れている場合には、安全余裕があることになりますので、安全余裕率が高いほど収益性が安定していることになります。 収益性が安定しているかどうかは安全余裕率で把握し、この数値が高いほど安定していることを示します。 安全余裕率は、 「(実績売上高-損益分岐点売上高)÷実績売上高=安全余裕率」 で求めることができますので、安定した経営を求めるのならこれらの数値を確認していくようにしましょう。