建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設業界で重要な法令順守のハンドブックの内容とは?

2019.08.08
分類:その他
国土交通省土地・建設産業局建設業課が平成29年3月に公表した建設業法令遵守ガイドラインでは、元請と下請の関係に留意する点について記載されているハンドブックです。 少子高齢化で現在は労働力人口が減少している状況であり、特に建設業は若手の入職者が減少している上に、職人が高齢化している状況が問題です。 将来、インフラ整備を支えることになる人材を確保するため、待遇や労働環境を改善し若い世代が入職することが必要とされている状況といえるでしょう。 このような状況において、政府は元請と下請の取引を適正化に取り組んでいる状況であり、ルールを示すためにガイドラインが策定されています。

建設業が理解しておきたいハンドブックの目的

一方的な代金の差し引きや不適切な取引、追加・変更契約締結拒否や下請の責任ではないやり直し工事の強制、正当な理由もなく長期間に渡り支払いが保留されるなど、様々な問題が浮上しています。 このような状況が続けば、労働者に適切な賃金が支払われなくなるため、元請と下請との間で契約を締結する場合には建設業法に従うこと、どのような行為が建設業法に違反するのか具体的に示すことを目的としてガイドラインが策定されました。

特に注意しておきたい項目

ハンドブックの中で特に注意しておきたい項目の一部は次の通りです。元請からの依頼で違反となる例を紹介していますので把握しておきましょう。

見積条件の提示について

元請が不明確な工事内容を提示するなど、見積条件があいまいな状況で下請に見積りを提出させた場合や、元請からなるべく早くなど曖昧な見積期間の設定を行うこと、さらに元請が下請から工事内容など見積条件に関して質問を受けたのに曖昧な回答や未回答であった場合などは、建設業法上違反となるおそれがあります。

書面による契約締結

下請工事に関して書面による契約を行わなかった場合や、建設業法第19条第1項における必要記載事項を満たしていない契約書面が交付された場合は建設業法上、違反行為となります。 また、元請と下請とが書面による請負契約を締結する前に、元請から下請に工事に着手するように指示を行い、工事施工途中や工事終了後に契約書面を相互に交付した場合も違反となります。 下請工事に関して基本契約書を取り交わさない、または契約約款を添付しないで注文書と請書だけで契約を結んだ場合も違反です。 契約は下請工事に着手する前に書面で行うことが必要であり、建設業法で定められた一定事項を記載することが求められます。 もし注文書や請書で契約を結ぶ場合には、一定要件を満たすことが必要ですので注意しておきましょう。