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2019年4月からスタートした「建設キャリアアップシステム」とは?

2019.10.09
分類:その他
国土交通省と大手建設業団体が進めていた「建設キャリアアップシステム」は、2019年4月から本格的にスタートとなりました。 しかし中小企業などでは、どのような仕組みなのか、そもそも利用することにメリットはあるのか把握できていないこともあるようです。 そこで、新たに始まった建設キャリアアップシステムについてご説明します。

建設キャリアアップシステムができた理由

建設現場で働く方たちの保有する資格やこれまでの経験などをデータベース化し、職歴をICカードに蓄積させることによって、賃金とキャリアステップの問題を解決しようという仕組みが「建設キャリアアップシステム」です。 建設業界で働く技能者の年齢は現在高齢化しており、若手の求職者が集まらない状態といえます。今後もこのままではこのような状況が続くと考えられるため、なぜ若手が集まりにくいのかその要因を探り、解決するための方法として考えられたのが「建設キャリアアップシステム」といえます。

技術や資格が賃金に反映されにくい問題を解決できる可能性が!

建設業界で働く技能者は、ずっと同じ現場にいるわけではなく、次々に新しい現場で経験を積むことになります。 本来なら高い経験値とスキルを持っていても、新しい現場ではその技術や知識、経験が賃金に反映されにくく、スキルアップしても意味がないと感じて辞めてしまう若手技能者もいるようです。 そこで、建設業階で経験を統一して評価することにより、積み重ねた経験や得た技術などによって、賃金向上に繋がりやすくしようとするものがこのシステムです。

保有するICカードもレベルに応じて種類が分かれる

技能者にICカードを保有してもらい、新規の現場に入場する時にはこのカードを通す仕組みとすることで、現場が変わっても技能者の情報を共有することができるようになります。 技能者の技能や経験に応じたICカードが配られることになりますが、カードの種類は一般カードと、登録基幹技能者資格を持つ方用のゴールドカードの2種類です。ただ、いずれは4種類に分かれる計画のようなので、スキルが上がればICカードの色も変わるといったことにより、目で見て技術の高さや経験値などを把握することが可能となるでしょう。

建設業界の技能者の職務経歴がIT化されるメリット

2019年4月から正式に始まった「建設キャリアアップシステム」ですが、2019年度中には100万人の技能者を、そして5年後の2023年には約330万人が登録することを目指しているようです。 技能者にとってはこれまでの経験は取得した資格を明確化させることが可能になるため、賃金に反映されやすくなることが期待されます。